森マガ

長友佑都選手の公開生着替えについて

2022年Jリーグ開幕カードとなった川崎vsFC東京では滅多に見られない場面がありました。それは長友佑都が交代出場したすぐ後のこと。スローインしようとしている長友に木村博之主審が近づき何かを言うと、長友はいきなり上半身裸になってアンダーシャツを脱いだ状態でもう一度ユニフォームを着ました。

 

長友が着ていたアンダーシャツは黒。そしてこの日のユニフォームの上は白。Jリーグのユニフォーム規定では、第3条「ユニフォームの色彩」に、「アンダーシャツを着用する場合は、袖の色がシャツの袖の主たる色と同じであること」とあります。この規定に反していたので主審が指摘し、長友はその場でアンダーシャツを脱いだのでした。

 

さて、ここには2つの疑問があります。

 

まず、なぜ規定違反してしまったのか。一番目に問われなければいけないのはFC東京の準備がどうだったのかでしょう。次に、第四の審判は選手が交代出場する際に選手の服やスパイクをチェックしますが、そこがなぜ漏れてしまったのか。これは多分、両方のうっかりミスだと思います。いかにもリーグ初戦、久しぶりの試合でプロトコルを忘れていたような気がしてなりません。大事にならずにすんだのが幸いでした。次はしっかりやってください、という感じです。

 

では主審がその場で着替えを認めたのはよかったのか。違反しているから一度長友を外して試合を再開するべきではなかったのか。

 

これについては、もし第四の審判が先に気づいていたら出場前に変更させるはずですから、試合中に数的不利になることはありません。ですがこの場面で長友を外すとFC東京は1人少ない状態になってしまいます。杓子定規に適応すれば長友を一度外した状態で再開することも考えられますが、でもそれはサッカーの本質としてどうなんでしょう? もし長友がそうやって外れている場面でそこを突いて川崎が得点しても、何かお互いに後味が悪くなりそうな気がします。

 

つまり、この場面ではその場での着替えを認めた主審と、それに抗議しなかった川崎と、そしてそれを許容した観客のみなさんが素晴らしかったと思います。そのおかげで楽しめる(もちろん勝敗は付きましたが)サッカーになりました。この寛容さ、というかサッカー愛が開幕戦で見られたことは意味があると思いますし、それを記録するため、あえてここに書き残したいと思います。

 

(写真と本分は関係ありません。撮影:浦正弘)

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ