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東京2020選手選考 北村菜々美選手はDFなのかMFなのか?メンバー入りは!?

今回は高倉麻子監督が、なでしこジャパン(日本女子代表)の左サイドに何を求めているのか?がテーマです。そして、北村菜々美選手はディフェンダーのプレーをしているのでしょうか?それともミッドフィルダーのプレーをしているのでしょうか?記者会見での数々の証言から検証します。さて、高倉麻子監督が、これまでの男女日本代表のタスクと全く異なるタスクをサイドバックに求めていることに気がつかれたでしょうか。そして、タスクに合わせた選手を招集していたことに気がつかれたでしょうか。

なでしこジャパン(日本女子代表)ウクライナ女子代表戦

鮫島彩選手は当初はセンターバックで起用されていた

なでしこジャパン(日本女子代表)の最終選考となる6月の2連戦・ウクライナ女子代表戦(2021年6月10日)とメキシコ女子代表戦(2021年6月13日)。まず、気がついたのは、6月2日に発表された23人のメンバー表に鮫島彩選手(大宮V)の名前がなかったことでした。

長く、豊富な運動量と的確な技術でなでしこジャパン(日本女子代表)を支えてきた鮫島彩選手ですが、2021WEリーグプレシーズンマッチでは大人しいプレーをしている印象でした。最終戦となった2021年5月29日のノジマステラ神奈川相模原戦では、3本のシュートを放ち「さすがは鮫島選手」とスタンドを唸らせるプレーを披露しましたが、2021WEリーグプレシーズンマッチ全体を見ると、コンディションが万全ではないのかもしれません。心配する声が多く聞こえました。

中央でプレー出来る選手がサイドバックで起用されてきた

高倉麻子監督は、ここまで約80人の選手を合宿に招集してきました。その中で、誰を左サイドバックに起用してきたのでしょうか。振り返ってみましょう。

FIFA女子ワールドカップドイツ2011の世界一メンバーとして知られる鮫島彩選手ですが、意外なことに、高倉麻子監督は、ずっとレギュラーで起用してきたわけではありません。鮫島彩選手が左サイドバックのレギュラーポジションを獲得したのは、FIFA女子ワールドカップフランス2019の直前でした。

高倉麻子監督は、それまで、鮫島彩選手をセンターバックで起用し続けました。つまり、中央でのプレーを身につけてから、鮫島彩選手は左サイドバックのレギュラーポジションを獲得したのでした。

高倉麻子監督の、ここまでの左サイドバック起用を見ると、一部のオーソドックスな左サイドバックの選手を除くと、センターバック(中央)かアンカーポジション(中央)を出来る選手が左サイドバックに起用されていることがわかります。これは高倉麻子監督の選手起用の最大の特徴です。

偽サイドバックに「似た」ポジションで中央を厚くする

高倉麻子監督の戦術の一つに、偽サイドバックに「似た」ポジションがあります。サイドバックの選手は、高い位置を取るとき、タッチライン際だけではなく、アンカーポジションに近い中央の位置にも出てくるのです。

攻撃的な高い位置のポジションに人数を増やしたい。しかしカウンター攻撃は食いたくない。中央のポジションにサイドバックを置くことで、中央の人数を増やし、ボールを失ったときにもカウンター攻撃で中央を一直線にゴール前まで蹂躙される可能性を低くします。強力な縦に速い攻撃を持っている米国女子代表や英国女子代表等を警戒し、中央の守備を固め、それでいて攻撃に人数を増やす戦術といえます。

この中央のポジションの役割をスムーズにこなすために、高倉麻子監督はアンカーポジションやセンターバックの経験を持つ選手をサイドバックに重用してきたのです。

なでしこジャパン(日本女子代表)の5レーンイメージ

攻撃的な左サイドバックは北村菜々美選手が1stチョイスか?

さて、6月の2連戦・ウクライナ女子代表戦(2021年6月10日)とメキシコ女子代表戦(2021年6月13日)で高倉監督が招集した左サイドバックは、北村菜々美選手と宮川麻都選手(いずれも東京NB)、そして高橋はな選手(浦和)でした。2021年4月から招集されるようになった北村菜々美選手に注目が集まりました。ウクライナ女子代表戦(2021年6月10日)の北村菜々美選手を振り返ってみましょう。

2度の右足アウトサイドでのグラウンダーのクロスをはじめ、多くの攻撃の起点となりました。北村菜々美選手は、このように振り返りました。

「前半は相手のスピードが分からなくて引き気味になってしまったのですが後半は慣れて高い位置を取ることができました。修正できたのが良かったと思います。チームとしてサイドバックが積極的に攻撃参加することになっています。ウクライナ女子代表戦ではサイドに開いたり、中でボールを受けたり、ポジショニングは良かったと思います。」

北村菜々美選手も中央でプレーできる選手ですが、アンカーポジションやセンターバックでプレーしてはいません。北村菜々美選手は、日テレ・東京ヴェルディベレーザでは攻撃的なインサイドハーフの選手です。そして一人で一直線にドリブル突破するタイプではありません。つまり、高倉麻子監督は、より攻撃のアイデアが必要な試合で、前線の選手とのコンビネーションを生かした素早い仕掛けに期待している考えられます。

ウクライナ女子代表戦を終え、高倉監督は、選手起用について、このように話しています。

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