WE Love 女子サッカーマガジン

【女子サカの街】平安中期 女流文学古典の名作「更級日記」が生まれた街で オルカ0−0名古屋

爽やかな青空が広がり、メインスタンドの向こう側に工場の煙突が鮮やかに立ち並びます。小さなバックスタンドの2階席のフェンスに、数多くのスポンサーバナーが並び、静かに揺れます。2021プレナスなでしこリーグ1部、オルカ鴨川FCはホームゲームをゼットエーオリプリスタジアムで開催し、NGUラブリッジ名古屋を迎えました。同じ千葉県とはいえ、オルカ鴨川FCのホームタウンの鴨川市は外房の美しい海に面した地域。ゼットエーオリプリスタジアムのある市原市は東京湾に面した内房の地域。距離は遠い。それでも、多くのファン・サポーターが市原市まで足を運んでくださりました。

白熱する極限のスペース潰し

オルカ鴨川FCは4141の布陣。NGUラブリッジ名古屋は442の布陣。いずれも、前線と最終ラインの間隔が狭くして自由を奪う守備戦術です。特に、NGUラブリッジ名古屋は全選手が鴨川陣内深くにまで侵入して、極限まで中盤の間隔を狭くすることもあり、オルカ鴨川FCの選手は、少しでもトラップが大きくなればボールを奪われることになります。活発なフリーランニングで動きながら余裕のあるスペースでボールを受けることで、第1節、第2節は試合の主導権を握ってきたNGUラブリッジ名古屋も、これまでの試合と異なりフリーでボールを受けられない場面が目立ちました。オルカ鴨川FCの守備も妥協を許さない厳しさです。

お互いに、決定的なゴール前へのラストパスだけは阻止し合うシビアな展開。中盤では、無理なプレーが多くなり、両チームの選手が正面から身体的接触をし、際どいボールに同時に足を出すプレーが増え、選手が倒れる場面も多かったです。攻撃的な両チーム、綺麗にパスを回し合う試合展開を予想していた筆者にとっては、全くの予想外の激しい試合となりました。

お互いに「厳しい」コメントを残す引き分け

2020プレナスなでしこリーグ部を位で終え、2021プレナスなでしこリーグ部で「裏付けのある優勝をしたい」と小川貴史監督が公言しているオルカ鴨川FCにとって、計算外の試合展開だったかもしれません。あるオルカ鴨川FCの関係者は試合後、筆者にこのように漏らしました。

「入りが良かったのでいけると期待したが、なかなか厳しい試合だった。」

アディショナルタイムにNGUラブリッジ名古屋のコーナーキック2連発から際どいオフサイドのノーゴール。スタンドからは大きな悲鳴が上がりました。オルカ鴨川FC関係者は肝を冷やしたかもしれません。

一方のNGUラブリッジ名古屋も、プレナスなでしこリーグ1部に昇格してはじめて、思った通りに進められなかった試合だったかもしれません。オフィシャルTwitterアカウントでは、このようなコメントを発信しています。

「プレッシャーも強い相手で、厳しい戦いとなりましたが、今季初の無失点でゴールを守り切れた事はチームとしても次に繋がる試合となりました。」

2021プレナスなでしこリーグ1部は、ハイレベルな戦いが続いています。スコアレスドローを残念に感じる気持ちもありますが、全体に見どころが十分な激しい試合だったと筆者は思います。

市原市は女流文学作品の故郷

ゼットエーオリプリスタジアムのある市原市には更級(さらしな)という地名があります。その由来、女流文学作品として名高い『更級日記』を歴史の教科書で知った方も多いと思います。『更級日記』は、今の市原市で育った菅原孝標女が『源氏物語』の夕顔や浮舟のような恋愛に焦がれる娘の頃から50歳代までの約40年間を書き綴った回想録です。

(残り 1404文字/全文: 2869文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ