西部謙司 フットボール・ラボ

中島翔哉が復活。いま浦和レッズの左サイドがJリーグで一番面白い

いま浦和レッズの左サイドが面白い。中心にいるのは中島翔哉だ。なぜ彼は再び輝き始めたのか? 左足の演出家は硬直しかけていた浦和に何をもたらしているのか? これからさらに期待できる変化は何なのか?

 【おもな内容】

・浦和の左サイドの破壊力はJ1でもトップクラス

・「自由気ままにプレーしているわけではない」。浦和の戦術との相性は意外と良い理由

・大久保との「時計仕掛けの左サイド」は圧巻

・硬直しかけていた浦和を解き放つキーマンは一体何をもたらすのか?

J1でもトップクラス、浦和の左サイドの破壊力 

ポルティモネンセでプレーした20172019年の2シーズンが、たぶん中島翔哉の最も良かった時期だった気がします。FCポルトに移籍したときは、ここからさらにステップアップしていくのかなと思っていました。日本代表でも別格でしたからね。

それからいろいろあって昨年、浦和レッズに移籍してきたわけですが、体は重そうだし往年のキレも失われていました。ドリブルで無双していたピークのときと比べると、もう別人な感があった。

しかし、あの中島が戻って来つつあるようです。第12節の横浜F・マリノス戦では伊藤敦樹の先制点をアシスト。その他にもいくつものチャンスを作り出していました。守備でもハードワークしていましたし、第11節の川崎フロンターレ戦もそうでしたが、浦和の攻撃を牽引する存在になっています。

横浜F・マリノス戦の浦和の先発メンバー

ポジションは4-3-3の左ウイングですが、中に入ったり後方へ引いたりといった日本代表のときと同様の自由な動きです。左インサイドハーフの大久保智明、左SB渡邊凌磨との関係性もかなり良かった。ここにグスタフソンが絡んできたときの左サイドは、J1でもトップクラスの威力ではないでしょうか。

「自由気ままにプレーしているわけではない」。浦和の戦術との相性は意外と良い理由 

今季の浦和はオランダ方式の4-3-3でほぼ一貫しています。本家のオランダもだいぶ変わってきましたが、かつて日本代表を率いたオランダ人、ハンス・オフト監督は選手たちに「自由ではない」と言っていました。ちゃんといるべき場所があるサッカーなんです。

現在の浦和もそうです。まずポジションありきのスタイルの中で、ウイングプレーヤーは基本的にはタッチライン際に位置し、そこからドリブル突破などチャンスを作り出す役割があります。

そういうポジショナルなサッカーと自由な中島の相性は悪そうな気がしますけど、意外に相性は良いのではないかと思っています。

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