西部謙司 フットボール・ラボ

「答え」を先に持つ。来季のJ1で絶対に失敗しないための最重要ポイントはたぶんこれです【西部の大予言】

ポジショナル・プレーが「普通の戦術」になるであろう2022シーズンを戦うJ1全クラブが肝に銘じておきたい、勝者と敗者を分ける最大のポイントとは? 「いいサッカーしてるんだけどなぁ…」で終わらせたくない全クラブ必読の内容です。

健闘するも降格してしまった大分、徳島が教えてくれた教訓

リーグ18位で降格した大分トリニータが準決勝で優勝チームの川崎フロンターレに勝ち、決勝で6位の浦和レッズを相手に健闘。天皇杯の終盤はカップ戦らしい様相でした。

決勝に関しては大分のほうがやや主導権を握っていたゲームにみえました。もっとも、浦和は6分に先制しているので、大分がボールを握って攻める展開になったのかもしれませんが。

浦和の先制点は関根貴大と小泉佳穂がドリブルで突入をはかり、どちらもきれいな形では抜けていませんでしたが、最後に関根が上手く外してのプルバックを江坂任が決めています。強引に仕掛けたのが良い結果につながりました。

その後は大分がボールを支配して押し込む流れになります。前半の菱形MFの4-4-2からフラット型4-4-2にシステムを変え、よりゴールに近づきます。90分にペレイラのヘディングシュートで同点。しかし、ロスタイムに交代出場の槙野智章が柴戸海のボレーシュートのコースに入り軌道を変えてゴール。浦和の劇的な勝利でした。

ただ、この試合に関して浦和はあまり良い出来ではなかったように思います。リードした後の待ち受け型4-4-2ブロックはあっさり通過される場面もあり、カウンターのチャンスもシュートミスでモノにできませんでした。パスワークは大分に上回られていた感じ。

大分は防戦一方だった川崎との準決勝とは違って、かなりボールも持てました。ペレイラの同点弾は準決勝のエンリケ・トレヴィザンのシュートとそっくりで、サイドは違いますが下田北斗のハイクロスからという経緯も同じ。ただ、課題もやはり同じでしたね。運んだ後がなかった。前回も触れましたけど、これが降格の原因だったのではないでしょうか。

鹿島、FC東京、広島、G大阪も……ポジショナル・プレーが「普通の戦術」になる来季において勝者と敗者を分けるポイントとは? 

徳島ヴォルティスも大分と同じ課題を抱えていたと思います。運べるけれども崩せないという部分です。

2021J1でポジショナル・プレー勢の成績が良かったこともあってか、来季はポジショナル・プレーの導入が一気に進みそうな気配です。鹿島アントラーズは初の欧州人監督となるレネ・ヴァイラーが来ますし、FC東京はアルビレックス新潟の監督だったアルベルトの就任が決まっています。サンフレッチェ広島はドイツの育成改革をやったミヒャエル・スキッベ。ガンバ大阪は片野坂知宏監督が最有力という報道もありました。

ポジショナル・プレーはいずれ「普通の戦術」になっていくでしょう。ただ、

(残り 1007文字/全文: 2188文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ