西部謙司 フットボール・ラボ

【追伸、森保監督】私のことは嫌いになっても5-2-3のことは嫌いにならないでください【引き続き勝つための提言】

オーストラリア戦を前に西部氏がひっそり提案した5-2-3(前回記事:「【拝啓、森保監督】オーストラリア戦は世界のトレンドを先取りした「Jクラブご用達」のあのシステムで戦いませんか?【勝つための緊急提言】」)は採用されなかったものの、4-3-3へのモデルチェンジで難局を乗り切った森保監督。しかしシステム変更時にブーストが発動して、その後停滞というパターンが繰り返される傾向にあるので油断はできません。今回の変化はサステナブルなのか否か。今後の展望を占ってみました。

※なお記事タイトルに著者の意向は1ミリも反映されておりません

川崎フロンターレよりもリバプールに近い森保ジャパンの第三形態 

いやー何とかしましたね、オーストラリア戦。森保一監督の、官僚が書いた原稿を読み上げる政治家のようなコメントもいつになく力強く感じられました。いや、貶すつもりはないんです。サウジアラビア戦の直後のように「諦めなければ云々」という感じで読み上げられると(いや、読み上げているわけではないですが)、大丈夫か? というファンが思うのは無理もないですが、あれが森保監督のキャラといいますか、本人は思っていることを話しているだけだと思います。

昔、選手時代の森保さんを取材したことがあります。「インターセプトの極意を伝授する」みたいなテーマ設定でした。パスカットといえば森保という感じでしたからね。で、あれはどういう意図? これはこういう狙い? と質問していったのですが、

「あの、自分はとくに考えていません」

みたいなことを言われて、「どうしよう……」と思った覚えがうっすらあります。同時に正直な人なんだなと。サウジアラビアに負けてかなり叩かれていましたけど、メンタルはめちゃ強いので大丈夫だろうと思っていましたが、何とかしましたね。

いきなり4-3-3(まあ、少しはテストもしていたか)。そしてリバプール仕様。もしかしたらリバプールを一部コピーした川崎フロンターレのコピーかもしれませんが、仕上がりとしてはリバプールのほうが近いかと。もちろんリバプールと同じという意味ではありません。

中央3レーンを抑えるFWMF、ウイングは外切り。このミドルプレスを軸にして、中盤で奪ったら相手のラインが高いうちに前に残っている速いFWが攻め込むという流れですね。MFの3人にボール奪取力のある選手を揃え、FWに速さ自慢2人に「フィルミーノ」という構成はリバプールっぽい。むしろ川崎のコピーにはなっていません。ボール保持力、ポケット侵入、5レーンの収縮などの川崎の特徴はほぼ入っていませんから。

田中碧が「皇帝」になった日でもありましたね。まだ「皇帝」は早すぎかもしれませんが、フランツ・ベッケンバウアーの代表デビューも生きるか死ぬかのワールドカップ予選(スウェーデン戦)でした。当時としては抜擢で、イチかバチかだったみたいです。それ以降、ベッケンバウアーはカイザーになっていきました。

あえなく終了の第二形態。システム変更が進歩につながっていかない日本代表の問題点

前回、こっそり提案した5-2-3は残念ながら採用されませんでした。採用してくれたら、もっと楽に勝てたと思います()

まあそれは冗談ですが、

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