西部謙司 フットボール・ラボ

【Jクラブ戦術フォーカス】ヴィッセル神戸、鹿島アントラーズ、横浜F・マリノスのビルドアップ研究。三者三様、巧妙に練られた前進ルートの仕組みとは?

今回はボールをスムーズに前進させるための形をしっかりと持っているヴィッセル神戸、鹿島アントラーズ、横浜F・マリノスの巧みなビルドアップを解説。圧巻のボール支配を見せる神戸、リスクマネジメントを周到に準備している鹿島、相手をジレンマに陥れる横浜FM。3クラブはいかにして相手の守備の狙いを外しているのか?

制御しにくい神戸のビルドアップ。完全にボールを支配した松本戦

今回はビルドアップについて。チームによってビルドアップの形が異なります。後方でボールを確保しながら前進を狙うルートがいくつかあり、採用している形が若干違っている。チームの個性が出やすい部分だと思います。

26節の松本山雅戦に2-1で勝利したヴィッセル神戸のビルドアップは圧巻でした。

この試合の神戸は790本ものパスをつなぎ、成功率は88.9%でした。ボールポゼッションは時間帯によって80%近くまで上がっていて、完全にボールを支配しています。もともとパスワークの上手い神戸でしたが、トーマス・フェルマーレンと酒井高徳の加入はかなり大きかったと思います。この試合、アンドレス・イニエスタは欠場していますが、古橋亨梧がイニエスタのいた左インサイドハーフで見事なプレーぶり。速いイニエスタでした。

神戸はダンクレー、大﨑玲央、フェルマーレンの3バックです。対する松本山雅は1トップ+2シャドーなので(または2トップ+トップ下)、前線からのプレスが利きそうですが、これがまったくハマりませんでした。

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