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無料:2月から地元で練習ができないまま開幕を迎えなければならないのが実情です。(十条FCレディース・内山純平コーチ)[コロナ禍に生きる]

2週目(6/28)の試合後、城北の選手に感謝の気持ちを伝える十条の選手たち。

2020年6月28日  北区滝野川体育館
(PHOTO、TEXT・山下浩正)

 

練習試合/6分5本勝負
城北レディース 8-3 十条FCレディース

 

東京・北区の古豪、十条FCレディース。久々に10人の選手がそろい、新シーズンに向けた威勢のいい話を聞こうとしたところ、なんと、2月から練習場にしてきた地元中学校の体育館が使えず、基本中の基本であるチーム戦術を落とし込むチーム練習ができない苦境に陥っているというではないか。チームのコーチに、コロナ禍ならではの苦しい実情を聞いた。

チーム戦術を落とし込むチーム練習ができない!

Pivo! かつて5人で都リーグの公式戦に臨んだこともある十条FCレディース(以下、十条)にこんなたくさんの選手が顔をそろえているなんて!

内山 そうですね、今年は就職してた子も2年目を迎えてある程度日程の調整がつくようになったりとか、それと、去年就職がきついかもしれないから(就活に専念するために)1回離れた子が戻ってきたりとか、あと、若い子が、専門学校卒業して就職して、じゃ、やってみようかなみたいな。新しく入ってきた子が2人、戻ってきた子が1人、定期的に来れるようになった子が2人、って感じですね。だからちょっと去年よりはいいかな、みたいなところはありますね。

Pivo! そんな中で新シーズンへのいい手応えをつかめたのではないか。

内山 そうですねぇ。我々、拠点が学校の体育館なんで、今もう全く駄目なんですね。

Pivo! えっ、使えないってこと!?

内山 全く駄目です。10月末まで使えないってことがわかっている中で。

Pivo! 10月末まで!?

内山 そうなんです。一応学校自体(3密を避けるために体育館使用自粛は)7月末までなんですけど、そこから、8、9月って空調の工事が入っちゃうんですね。その関係で我々10月末まで拠点がない、じゃあどうするかっていうところで今回城北さんに頼んで2週連続で練習試合をやってもらっているわけです。
チーム練習ができないんですよねー。

Pivo! もちろん、地元の?

内山 はい、北区立十条富士見中学校です。

僕らは、それ(区立学校の体育館)に合わせて会費とか組んでるんで。じゃあ、民間使うからほかのチームみたいに5,000円、6,000円取れるかっていうと、しなくて。

Pivo! 現状、いくら?

内山 月3,000円です。で、年会費なしです。

なんで、本当に登録とかのお金をもらうくらいで。学校の体育館を借りてる分、ほかのチームに比べて楽している部分で。じゃあ、閉め出されたときに苦しいんだなっていうところは勉強になりました。

なので今後、今シーズン僕ら練習をやりだして、3回とも練習試合しかしてなくて。チーム練習っていうのが2月から全くできてないんですね。

Pivo! その中で6月からようやく始めて今日が3回目で城北戦。その前の2試合が?

内山 マデイラです。

Pivo! 千葉のマデイラ/ブランコ。

内山 そうです。その中で試合をやりながら微調整をしていっているのが現状です。だから、新しく入った子や戻ってきた子に、(チーム戦術を)ちゃんとトレーニングで落とし込めないというつらさはあります。ですから試合しながら調整していくしかない。その辺のかっとうですね。

Pivo! そんな中で迎える新シーズン。戦略的にはどうか。

内山 そうですね、まぁ、ようやくね、こうして安定して人数がいるんで。2セット組んでクオリティーを上げていきたいなっていうところはあるんですけど。でももう7月中旬には選手権都大会が予定されてるし、都リーグも月末には始まる予定なんで。つくり上げる時間を飛ばして試合できるチームにしていかなきゃいけないし。急ピッチでつくっていくっていうところで。ケガせず、どれだけコンディションを上げていけるか、というところだと思います。暑いですし。

Pivo! 厳しい!

内山 厳しいですね。だから人数的にはいいんですけど、世間の状況に合わせて、一転、我々の状況も厳しさを増しているところです。

「同じ北区のチームとして少しでも手助けができるなら」

Pivo! 相手の城北に経験者が多く、十条は若い選手を使っていったにもかかわらず、試合では決して負けていなかった。2本目の試合では得意の前プレからのいいゴールも決めていたし。

内山 そうですね。ずっと前からプレスをかけていたし。何にしても、前プレっていうのは我々の一番ずっとやっていくところなんで。そこの部分だけは頑張ってその形から獲れたかなと。だからオフェンスの部分でマイボールにして、じゃあ、戦術はこういう形で崩そうっていう部分ではできてないんですけど、守備の部分のもともと持っている部分ではいけたかなとは思います。

Pivo! 十条と城北の選手同士は仲がいいと聞いているが、内山コーチと川監督とは?

内山 川さんは中学のときの先輩なんですね。選手たちは選手たちで飛鳥高校出身者がどちらもいて、そういうところで、負けたくないっていうのが無駄に働くっていうのはあると思います。

先輩に練習試合の要請をしたところ、「練習もままならない中で開幕迎えるのは大変だし。同じ北区のチームとして、少しでも手助けができるなら」と2週連続で組んでくれました。

Pivo! 話は変わるが、昨シーズンまで同じステージで戦っていたチームが片方は関東への昇格を果たした。その辺への意識はどうなのか。

内山 城北さんは上がるべくして上がったと思うし。僕らはじゃあ関東まであと一歩ということはありましたけど、あの状態で関東上がって関東リーグに迷惑かけなかったかっていうと、やっぱりそういうのも去年の状況見て6人7人とかっていうのもあるんで。城北さんは城北さんでちゃんと準備して上がって。僕らは準備せずあのステージ行っちゃって結果勝てなかったけど、じゃあ今年そのステージ目指すんですか? っていうことをシーズン通して、、。選手たちは負けたくないから当然目指すっていいますけど、本当のところ目指せるかっていうところを1年間かけて僕自身確認しなきゃいけないし。選手たちも確認していかなきゃいけないかなと思います。

Pivo! 厳しいスタートになるが、その中で条件が整って、きちんとした形でアタックができるかどうか。

内山 そうですね。モチベーションもあるし。取り組み方もあるし。さらに環境の部分もあるし。そういういろんなところで僕らは簡単に上がるといえるのかどうかだと思うんですよね。能力的にはあると思いますけどね。能力はあると思うんですけど、ただ、好きでやってるっていうところなんで。そこからどれだけレベルアップするかっていうところを考えていかなきゃいけないと思います。

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