[W杯座間レポート]最高のウクライナと最低の日本(日本対ウクライナマッチレポート)
準々決勝進出はならなかった日本代表。親善試合で勝利していたウクライナに敗れた。
好調のウクライナを相手に日本は今大会最も低調なパフォーマンスを見せてしまった。
ウクライナの2点目。すばらしいシュートでファーサイドに決められた。
稲葉にレッドカード。日本にとってアンゴラ人の彼が笛を吹いていたことは不運だった。
文・写真◆座間健司
試合前だった。蛍光緑色のポロシャツを着たジョアン ベネディートにばったり会った。ポルトガルはパラグアイに勝ったばかりだったが、ゴレイロの彼はこの日出場停止のためスタンドから試合を観戦。そして、ロッカールームでシャワーを浴びる同僚をピッチに続くエントラスで待っていたのだ。いつしか彼と今から始まる日本対ウクライナのゲームの話になる。僕は日本は高橋健介、逸見勝利ラファエルという2人の大事な選手がいないから難しい試合になるだろうと伝えるとジョアンはこういった。
「彼らは試合に出れないだろうけど、日本はいいチームさ。日本が攻撃のときに辛抱強くパスを回せば、ウクライナに勝てると思うけど」
ウクライナは伝統的にカウンターを得意とする。速攻が黄色のユニフォームを身にまとう東欧のチームのアイデンティティだ。ウクライナには俊敏な選手が多い。縦へのスピードは速く、そのカウンターの切れ味は鋭い。そんなチームに対して、パス回しの過程で不用意にボールを奪われれば、簡単に彼らの得意なカウンターの餌食になってしまう。だからパスを回すとき、そのカウンターを食らわないように陣形のバランスを意識しながら、攻め急がず、辛抱強くボールを回すことがこのゲームのポイントになるとジョアンは思っていたのだ。
かくして、彼の予想は見事に当たった。
しかも日本にとっては悪いほうに。
ウクライナ戦の日本は今大会最も低調なパフォーマンスをコートで見せる。世界中の人がきっと驚くような内容だ。これがブラジル、そしてポルトガルと同じグループにいて勝ち抜いたチームかと。
前半、日本のパス回しには辛抱もなければ、バランスに気を配ることもできていなかった。ボールを大事なつなごうとするその姿勢が全て裏目に出てしまっていた。
そのうえ、個々のミスも重なる。パスミスであり、判断ミスだ。日本のピヴォ、星翔太はふたつの決定的なミスを犯した。2分に彼のミスパスがウクライナにカウンターを食らわせるきっかけとなった。さらに9分の失点は彼が自陣深くでドリブルで抜いていこうとしたところを奪われ、そのままゴールを決められた。ウクライナの3点目は星の言い逃れのできないミスだ。これまでに好セーブを見せていた川原永光も自軍がひとり少ない場面であったが、正面のミドルシュートをとらえることができず、ウクライナに4点目を献上している。
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