【3バック⇔4バック⇔5バック】U23韓国代表がU23日本代表に5-4-1で臨んだ戦術相性的な意図
U23アジアカップグループステージ最終戦で大岩剛監督率いるU23日本代表は0-1でファン・ソンホン監督率いるU23韓国代表に敗れてしまいました。日本人として敗戦自体は悔しいものの、内容面を考えれば妥当性は高いかもしれません。やっと「ゼミ」らしいことを行います…!
今回取り上げていきたいテーマは「フォーメーション上の相性」です。U23韓国戦は格好のテーマとなりました。折角なので勉強してみましょう。
●普遍的なU23日本代表と仕方がなかったU23韓国代表
U23日本代表は、中国戦やUAE戦からメンバーを変化させたものの、フォーメーションや戦術含めていつも同様のメンバー。対する韓国代表は守備陣に負傷者や出場停止者が出たこともあり、普段の4-2-3-1を作ることが出来ないため、メンバーを一新して日本戦に挑むこととなりました。ただし通常時の『日韓戦』と異なるのは、両チームとも既に決勝トーナメント進出を決めており、テンションとしては激しくぶつかって何かを得る・失うという考えとは程遠かったように感じられました。これは決して悪い話ではありません。目標設定自体がこの試合における勝敗ではなく、その二試合先(準決勝)での勝利で五輪切符を勝ち取ることが何よりも最優先されるため、(ホームのカタールとはあたりたくない等はあっても)両軍合計初先発者が約10名となったのはある程度仕方ないとも言えるかもしれません。
日本代表からすれば、「それでも韓国だ」という観点から、普段通りの4-2-3-1で来るとの対策を見込み、韓国代表からすれば、通常のスカッドを組み上げることが出来ず、それでも「日本がシステムを変えないという予測のもとに『フォーメーション上の相性が良い5バック』を準備」してきたことは、してやったり感はあったでしょう。
●韓国が5-4-1ミドルブロックを設計してきた理由
韓国代表が採用してきた5-4-1はたしかに守備的ではありますが、それは(最近の日本代表が対戦した相手で言えば)カタールW杯のコスタリカ代表のように低いラインを伴ったローブロック型であれば超守備的と言えるでしょう。しかし、縦も横もコンパクトに中盤ラインに10枚が団結したかのようなミドルブロックの5-4-1を採用してきたことには意図があるのではないか。少し探ってみましょう。
日本は、定期的にロングボールを供給するタイプのチームではありません。「ミドルブロックだから裏が空いてるだろう」という意見はあっても、日本が積極的にロングボールを狙うチームであれば、韓国はそのままローブロックに移行したでしょう。ロングボールタイプのチームの場合は大柄な前線プレイヤーも必要です。元から190cmを超えるストライカーを日本は招集してもいないことから、韓国側はその可能性を捨てた。ましてや5-4-1という堅固なブロック自体、欧州の強豪クラブでもスコア的大差をつけるのは難しいシステムです。このあとしっかりお伝えしますが、4-1-2-3型システムに最も相性の悪い相手が5-4-1。自国側に問題が発生したとは言え、日本に反撃可能性の薄さを見つけ出したこその決断だったと言えるでしょう。
●5バック型が得意とする4バック型
(残り 1833文字/全文: 3159文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ