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【田村修一の視点】2024年1月31日アジアカップ バーレーン代表vs日本代表

アジアカップ 決勝トーナメント バーレーン代表1(0-1)3日本代表
20:30キックオフ アルトゥマーマスタジアム 入場者31,832人
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日本がバーレーンを破り、アジアカップ準々決勝に進出した。

グループリーグの後、中6日の間隔を経て、日本はノックアウトステージを戦う態勢を整えた。イラク戦の反省を踏まえ、アグレッシブに戦いを仕掛け、日本の長所を破壊しようとするバーレーンに対し、日本もコンパクトな守備から戦いを挑み返してバーレーンにつけ入る隙を与えなかった。

先制点も、相手DFを日本の左サイドに寄せることでスペースを得た毎熊が、精度の高いミドルシュートを放てたことから生まれたもの。トランジションやプレースピード、インテンシティは昨年ほどには回復できていないものの、アジア勢に対して森保ジャパンが用意したひとつの答えが、この前半31分の堂安の先制点だった。以降、日本は、同点に追いつくためより前がかりになったバーレーンに、プレースピードとインテンシティを上げた攻撃で何度もチャンスを作り出した。試合内容を鑑みても日本の順当な勝利であった。

とはいえ課題も残った。後半17分、GK鈴木のパンチングを契機にピッチ上で守備の不安が一気に高まった。1分後の上田のオウンゴールは、GKと声を掛けあえばどちらかが簡単に処理できるもの。不安をチームで払拭したいという思いが生んだ失点だった。

日本の次の対戦相手はイラン。事実上の決勝戦ともいえる戦いである。ただ、イランも、ラウンド16でシリア相手に思わぬ苦戦を強いられた。64分、VARによりシリアにPKが与えられるまでは完全にイランペース。その後、81分にエースのタレミが2枚目イエローカードで退場(次の日本戦は欠場)してから力関係が完全に逆転した。それまでほとんど攻められなかったシリアが主導権を握り、イランは守る一方に。その状況は延長戦が終わるまで続いた。PK戦ではイランが格の違いを見せたものの、日本との準々決勝に向け不安を残す内容だった。

同じ中2日で、状況の厳しさは同じ。それでも日本がイランを破り、5度目のアジア制覇を成し遂げることを心から願っている。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。

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