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J1夏の緊急補強ポイントと後半戦の大展望。優勝に一番近いのはマリノスではなく名古屋? 積極補強も浦和に足りないピースは?【前編】

 

J1夏の緊急補強ポイントと後半戦の展望を識者2人に占ってもらった。
今回、取り上げたのは横浜F・マリノス、名古屋グランパス、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズ、サガン鳥栖、北海道コンサドーレ札幌、川崎フロンターレ、FC東京。
サッカージャーナリストの西部謙司、河治良幸が見る、それぞれのクラブの補強ポイントと展望、そしてJ1の潮流とは?
2回に分けて、たっぷり2万字超えでお届します。
前編は以下4クラブを中心に展望します。

【横浜F・マリノス】
・昨季よりスタメン固定気味で過密日程がカギ
・マリノスが優勝するのはJリーグにとっては良くない?
・後半の上がり目はSBの小池2枚の復活か

【名古屋グランパス】
・中島大嘉は名古屋のスタイルに合うのか?
・得点力はそこまで必要ない。それよりも大切な根底の部分
・神戸より高い耐久性。相手が引いてきても問題ナシ?
・唯一無二のスタイル。優勝に一番近いのは名古屋?

【浦和レッズ】
・安部裕葵はあくまでオプション? 補強が一番多そうな気配
・モーベルグ問題はどうなる?
・浦和にとって一番効率の良い戦い方とは?
・優勝を狙うために必要なのはFW
・それでもユンカーは不要?
・伊藤敦樹に海外移籍の可能背性はなし? 大久保智明の2人に求められること

【サンフレッチェ広島】
・あまりに痛い満田誠のケガ。代役は獲得すべき?
・現状維持を打破するために必要なことは?
・川村拓夢の魅力と伸びしろとは?

J1夏の緊急補強ポイントと後半戦の大展望。鹿島の安定感は不吉な予感? 優勝争いのカギを握る札幌、鳥栖、川崎の「強すぎる中位」【後編】

 

■後半戦で問われる「神戸にプランBがあるのか?」

―今回はタグマで番記者の方が取り扱っているJ1クラブを中心に後半戦の展望、夏の緊急補強ポイントをお聞きしたいと思います。まずトップ3からということで、タグマ取扱いクラブではありませんが、前半戦好調だったヴィッセル神戸は後半戦もこの調子で期待できるのか? について簡単に展望だけお願いできますでしょうか。

河治 今の神戸はボールを持つよりも奪って速く攻めるスタイル。強度ありきなので、フルシーズン持たない懸念はあります。最近は60分過ぎから落ちてくるようになっていたんですけど、うまい具合に代表ウィークでひと息つけたので。

―後半戦は他チームによる神戸対策も進みそうです。

河治 ハードワークが求められるなかで大迫、武藤あたりもフルで出るのは難しい。これから夏場でより厳しくなるのでプランBがあるかどうかも問われますね。サンペールを軸にしてボール保持もやるのかなど。

―もともとはそっちのスタイルでした。

河治 浦和が神戸に勝ったとき(3月11日、第4節)はマリウス・ホイブラーテンとアレクサンダー・ショルツが大迫を押さえてましたが、そもそもJリーグだと大迫を止められるCBが少ない。それだけ大迫の存在が大きいとなると、補強ポイントはセンターFWで、岡崎慎司とかも考えましたが契約更新したので。大迫の代わりが務まる選手は国内にいないと思いますが、どう彼の負担を軽減していくか。

―退団濃厚と言われていましたけど更新しました。では本題に入ります。

 

【横浜F・マリノス】

■昨季よりスタメン固定気味で過密日程がカギ

―マリノスは陣容は充実していて選手層も厚いので、緊急補強っていう感じも今のとこはまだないでしょうか。海外移籍の可能性がありそうなのは西村拓真、藤田譲瑠チマあたりでしょうか。

河治 今のマリノスは、アンデルソン・ロペス、エウベル、ヤン・マテウスの3トップを前面に押し出す前輪駆動的なサッカーに変わってきているので、そこにセカンドストライカー的なうまく西村がフィットしきれていない感はありますね。マルコス・ジュニオールの方がそういうサッカーにははまるので、重要度が増している感はあります。どちらもいい選手なのは間違いないんですけど。

―水沼宏太もスタメンに割って入れないですよね。

河治 昨年はわりとターンオーバーに近い形で、スタメンをうまく入れ替えながら22、23人ぐらいは誰が出てもチーム力はそれほど変わらない感じで回していたんですけど、今年はそれがほぼないですよね。スタメンが固定気味。

―マスカット監督の中での序列がはっきりしている?

河治 そうです。それが夏場、ACLも入ってきて過密になるなかで、どういう風にこなせるのか。蓋をあけたら誰が出ても強いねってなるかもしれませんけど。

 

■マリノスが優勝するのはJリーグにとって良くない?

西部 マリノス、優勝しそうではあるけど、Jリーグにとっては良くないかな。

―というと?

西部 仰るとおり昨年を上回る戦力にはなっていなくて、やっているサッカーもそれほど変わらない。もちろん上がり目はあるんだけど、力が落ちても優勝できてしまうってことは、他のチームがいまいちだったんじゃないかという印象を与えかねない。去年よりリーグ全体のレベルが落ちているってことになる。

河治 確かに前年より力が落ちてるのに連覇ってあまりないですね。周りが打倒マリノスでくるなかで、より力をつけてそれを乗り越えていく。勝ち切る。そうしたスケールアップをとげて連覇というのがリーグにとっては好ましいですね。

―それが結果、Jリーグ全体の底上げにもつながりそうです。他チームのさらなる奮起に期待したいですね。

西部 ただ、アンデルソン・ロペスが怪我したときの代役がいないのと、エウベルも絶対的な選手なので、この2人が欠けると当然影響は大きい。

―そこは補強するにしてもお金もかかるので、難しいところですね。

 

■上がり目はSBの小池2枚の復活か

西部 あと上がり目は、SBの小池2枚(龍太、裕太)が復活するかどうか。

 

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