J論プレミアム

【森雅史の視点】2023年7月5日 J2リーグ第24節 東京ヴェルディvsV・ファーレン長崎

J2リーグ第24節 東京V 1(0-1)2 長崎
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数4,050人
試合データリンクはこちら

 

東京Vが長崎の術中にはまった。立ち上がりから29分までは東京Vが圧倒的にボールを支配して攻め込む。しかし長崎はラインに穴を空けずに待ち構え、東京Vが何度も入れた高低両方のクロスをはじき返し続けた。東京Vが攻め込むが長崎が決定機をつくらせずはじき返すという試合の構図が確定したように見えた29分、急に展開が変わった。

東京Vは自陣からつなごうとした無理なパスをカットされて反撃に遭う。左からのクロスをファンマ・デルガドが頭で折り返し、増山朝陽がしっかり決めて長崎が先制した。するとこれですっかり長崎のペースに。その後は長崎がボールをキープする時間が増え、東京Vは守備に追われる時間が増えた。

後半に入ると50分、カイオ・セザールが2枚目の警告をもらって退場になる。長崎は数的には不利な状況になったことで狙いをさらに明確にした。素早く下がってラインを深く敷き、そこからファンマ・デルガドに当てて打開しようとする。そして68分、東京Vがロングボールの処理にもたつくところをファンマ・デルガドが蹴り込んで2-0。東京Vも89分、新井悠太がカットインからミドルシュートを決めて1点を返したが、8分のアディショナルタイムでもう1点を奪うことが出来なかった。

試合後、 長崎のファビオ・カリーレ監督は試合の戦略を聞かれ、「せっかく勝点2差まで来たので明らかにすることは避けたい」と答えなかった。ホーム・アウェイ戦とも終えているのだが、プレーオフでの対戦も想定しているということだろう。そしてこの日は十分な手応えを掴んだはずだ。会見後「ビールを飲みます。一緒に行きますか?」と上機嫌で答えながら部屋を出て行った。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ