ロクダス

香港戦は苦戦必至!ベタ引きを綺麗に崩そうと思うな

 

文・写真=六川則夫

12月14日に行われる日本対香港戦、記憶の糸を辿ると2009年イビチャ・オシムさんが倒れて、そのあとを受けた岡田武史さんが、アジアカップ予選で香港と対戦した。確か南アで開催されたコンフェデの帰りに、立ち寄って撮影をした記憶がある。スタジアムのロケーションは抜群で、アウェイのゴール裏はそそり立つ断崖絶壁。久しく行っていないが、香港ガバーメントスタジアムは、僕の中で、忘れられない絶景スタジアムの一つである。その時は0-4で日本が勝っている。80年代は日本の好敵手とも言えたが、時代が進むにつれて、日本と香港の差は広がっていった。

12月11日、女子の日本対台湾戦に次いで、男子の韓国―香港戦が行われた。香港の国歌吹奏時に、中国の国家が演奏されたが(当たり前だが)、僕を含め、スタンドにいた数少ないお客さんも、どよめいた。

そういえば、ホームの韓国戦だというのに、日本対中国戦のほうがお客さんが多かったのは、理解に苦しむ。代表メンバーにも対戦カードにも魅力がないということか。韓国のサッカーファンは正直、いや熱しやすく覚めやすい?

試合前の韓国の集合を見て、見知った顔が少ないことに少しばかり驚かされた。GKのク・ソンヨン、DFパク・チュホ、MFキム・ボギョン、MFナ・サンホ、いづれもJリーグでなじみのある選手達だ。日本のサッカーを体験した、彼らのパフォーマンスに注目をした。

なでしこの台湾戦もそうだったが、香港戦もハーフコートに選手が密集する限られたエリアでの、ボールの争奪戦となった。ボール支配率はなんと、74パーセント、日本相手に威力を発揮するアーリークロスも、そのスペースにキッチリ蓋をされていた。

川崎フロンターレばりのショートパスで、密集地をこじ開けようとするが、コンビネーションに精度がない。

ま、これは日本も同様で致し方ない。香港は帰化した外国籍選手二人を中心に、はがされても他の選手がカバーに入り、クロスには足を投げ出してブロックと、体を張ってゴールを食い止めていた。全員が自陣前にいるのだから当然と言えば当然か。結果的に韓国は前半終了間際にHwang Inbeom 16番の色白の若者が、技ありのFKを決めどうにか先制した。ちなみにセットプレーはボギョンではなく、この16番が蹴っていた。日本でいえばさながら中村俊輔のように、落ちる、逃げる、曲がると3つのボールの軌道を描ける選手である。韓国メディアによると、ピント監督は闘志を前面に見せない16番は評価が低いそうだ。ただ多彩なキックと、大島僚太ばりの縦パスは、要注意だ。

後半も韓国の猛攻と香港の死守が続いたが、対中国戦の日本の失点を再現するかのような、左右に大きく振られたクロスからナ・サンホがヘディングシュートを決め、香港にとどめを刺した。

 

14日の香港戦は、韓国同様日本も苦戦するだろう。意表を突くロングシュートとセットプレー、サイドからの速いボールをゴール前に、どれだけ入れられるか。シュートというより、ゴール前の密集地に、様々な角度から強いボールを蹴れるかが明暗を分ける。美しく崩そうなんて、夢夢思わないほうがいい。

 

予想スタメン GK大迫敬介 DF渡辺剛、三浦弦太、古賀太陽 MF田中碧、田中駿汰 大島僚太 仲川輝人、相馬勇紀 FW小川航基 田川亨介

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