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『ある少年の自立と新たな挑戦~共に前進~』

 

レポート:横澤直樹

 

<前回のあらすじ>
 
約1年半前に、神経系の病気により、右眼を失明した13歳の少年。
今年の3月に、もう片方の左眼(視力0.1)も、レーベル病を発症し、人生に失望していた彼の夢を叶えるために、ロービジョンフットサル日本代表強化指定選手の松本光平選手が発起人となり、多くの方々のご協力のもと、Fリーグにみたてた試合が計画され、対戦相手、味方、応援団、観客など、会場にいるすべての人が、その少年をたたえ、喜びをわかち合い、ご来場くださったお客様と、感動を共有した試合になりました。
試合終了後のロッカールームで、その少年が夢へ向かって挑戦することを宣言し、デウソン神戸と共に、全員で前進していくことを共有しました。
その後、少年の目は、さらに視えにくくなったが、試合をキッカケに、勇気をもらい、感謝の気持ちとともに、夢に向かって前進する決意表明をしました。
 

 
 

それから5か月後・・・
 
先月の8月18日、和歌山県にて、大会が開催され、来場者約400人のなか、ゲストとして、デウソン神戸ロービジョンフットサルチームが、エキシビジョンマッチへデビューしました。

この大会は、中尾はやと氏が主催し、今年で10周年を迎えた。
中尾はやとは、2006年のタイのプロフットサルリーグ開幕から、チームは違えど、一緒にプレーしていた仲間であり、今回エキシビションの機会を快く、提供してくださいました。

 

 

試合会場には、ロービジョンのブースを設置させていただき、体験会も実施しました。
 
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そして、「スペシャルマッチ」と称して、大会に参加しているチームから選抜された
13歳の選手たちとのエキシビジョンマッチ
 

 
 
 
スペシャルマッチ前
横澤監督からの挨拶
 

 
『みなさん、こんにちは
我々はデウソン神戸といいまして、Fリーグが開幕した2007年から加盟しているクラブです。
 
今日は、Fリーグのチームとしてではなく、ロービジョンフットサルチームとして、参加させていただいています。
 
ロービジョンフットサルはご存知ですか?
 
ロービジョンとは、視覚障害者にあたる「弱視」という意味です。
 
ぜんぶ、みえていないのではなく、少しだけ、みえているということです。
 
だから、ブラインドサッカーとは異なる、Fリーグとほぼ同様の競技のルールに従って、プレーをしますので、難易度は、とても高いです。
そのロービジョンフットサル界で活躍していた松本光平という日本代表強化指定選手が、昨シーズン、デウソン神戸に所属し、健常者の中でも、素晴らしい活躍をみせてくれました。
 
それがきっかけで、我々もロービジョンとの縁をいただいたのですが、ロービジョンチームを設立するのには、ある理由がありました。
 
それは、ひとりの少年の存在でした。
 
その少年は、1年半前に、片目の視力を失いました。
 
将来を不安に思った彼は、松本光平の存在を知り、サポーターとして、昨シーズンの試合の応援に来てくれていました。
 
活躍する松本光平のプレーを観戦したことで、夢を目指せる希望がみえました。
 
彼の夢は、デウソン神戸の選手達みたいに、大勢のお客さんの前でプレーをしたいということです。
 
ですが、今年の3月に、レーベル病が発症し、もう片方の視力が奪われようとしていました。
その少年は、絶望感に陥り、不安な気持ちでいっぱいでした。
 
それを聞いた松本光平は、すぐさま、Fリーグと同じような環境をつくるべく企画し、テレビ新聞メディア、スポンサー、サポーター、会場づくりに必要な関係者、そして、我々デウソン神戸とともに、少年の夢を叶え、さらなる前進をしてほしいと、応援を兼ねたイベント試合を開催しました。
 
たくさんの方々のご協力もあり、素晴らしい環境のなかでプレーをした少年は、勇気をもらい、これからも夢へ向かって、前進してくれることを約束してくれました。
 
その少年が、私の隣にいる「沖平大志」です。(オキヒラ タイシ)
 
以前は、自分の名前を公に出すことを拒否していましたが、今は、自身の夢を叶えるため、そして、同様の障害をかかえた方々の希望の道をつくるために、我々デウソン神戸に所属して、夢や希望や勇気を与えられる存在を目指しています。
 
彼は、和歌山県出身ということもあり、エキシビションのデビュー戦は、和歌山県で、という私の希望を、今大会の主催者である、中尾はやとさんに相談したところ、ご厚意で、快く今日のイベントへの参加が決定したということです。
今日は、彼が挑戦する姿を、ぜひ、みていただき、みなさまに勇気や希望を与えられたら、我々も嬉しいです。
 


写真左から(山本翔太/坂口蒼茉/沖平大志/横澤直樹)
 
そして、今日プレーするのは、大志だけではなく、もう2人います。
 
鈴鹿ポイントゲッターズの下部組織でプレーをしながら、デウソン神戸にも所属している「坂口蒼茉」です。(サカグチ ソウマ)
彼の視力は、片目の視力はなく、もう片方は0.6です。
 
そして、背の高い彼は山本翔太といいまして、晴眼者となります。
ロービジョンフットサルのゴレイロは、健常者でもプレーをすることが可能です。
 
私は、監督の横澤です。
今日は、このメンバーでプレーをしますので、よろしくお願いいたします!』
 
 
エキシビジョンマッチと体験会の様子
 
https://youtu.be/tIx5Bu72WIw

 
大志は、松本光平を尊敬し、光平のように、勇気を与えられる存在を目指して、
彼の背中を追いかけ、奮闘中です。
 
その松本光平は、ニュージーランドへ渡り、クラブワールドカップ出場に向けて挑戦しています。
海外からも、デウソン神戸や、大志のことを考えながら、サポートをしてくれています。
 
大志は、ロービジョンフットサル選手として、駆け出したばかりで、勉強することは沢山ありますが、
今は、自分の名前や、視覚障害者であることも、公にできるほど、精神力が強くなりました。
 
毎週日曜日の練習は、兵庫県神戸市北区にある「アスコットインターナショナルスクールジャパン」の体育館にてありますが、和歌山県の那智勝浦町から、4時間弱かけて通っています。
 
人一倍では、松本光平に追いつけない。
だから、数倍の努力をしなければならない。
 
彼はそのように決心して、新たな夢を追い求め、挑戦しています。
 
ぜひ、これからの「沖平大志」に注目してください。
 

 
今回、ロービジョンの体験会を実施しましたが、体験者からは、カルチャーショックを受けたという報告が多数あり、この活動は、健常者と障害者が共に助けあえる「共存共栄」と、感謝しあえる「人間力の育成」が期待されます。
 
今後も、人間力の教育の一環として、体験会とエキシビジョンマッチをセットにした活動を実施していきますので、ぜひとも、この機会から我々をご利用いただき、健常者と障害者が共に暮らしやすい環境づくりを、一緒に目指していけたら嬉しいです。
 
体験会をご希望される方(団体・個人)は下記へお問い合わせください。
deucaokobe2007@gmail.com

 

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