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ジェフユナイテッド千葉との腐れ縁に終止符を(海江田哲朗)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

10月22日のジェフユナイテッド千葉戦は今季の大一番。千葉サポーターにもたくさん来場してほしい。

 

ジェフユナイテッド千葉との腐れ縁に終止符を(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]百十五段目

 

■東京Vが最も多くの対戦を重ねてきたチーム

僕はフルーツのなかで梨を一番好む。硬めの肉質、シャリシャリ感を求めて新高、あきづき、南水あたりの品種をチョイス。飼っている文鳥に切れ端をやり、梨を食べるのはこの時期の毎夜の習慣だ。

10月も中旬に入ると、スーパーの果物売り場のメインコーナーは南方からやってきたみかん軍団に占拠され、梨は隅っこに追いやられる。そうして僕はシーズンもそろそろ終わりだなと感じる。来年のことが頭にチラつき始める時期だ。

いつもと違うのは、東京ヴェルディが昇格争いの真っただ中にいることだった。思えば、春にデコポンやいちごを食べ、初夏に桃をパクついていたときも、東京Vは常に自動昇格を射程に収めるポジションにいた。第4節を終了して以降、順位はずっとプレーオフ圏の6位内を推移している。年間を通して、これほど安定して上位争いをしたシーズンは過去にない。道理で何を食べても旨いはずである。

やっとこさ暑い夏が終わり、秋だなあと思っていたらすぐに晩秋の気配が漂ってきた。シーズンの最終盤を迎え、外野はドキドキが止まらない状態だが、ランドでは粛々とトレーニングが行われており、チームに浮き足立つ様子はない。

プレーオフを勝ち上がって、J1昇格にあと一歩まで迫った2018シーズンから監督は4人代わり、メンバーは様変わりした。当時を知るのは平智広、梶川諒太、奈良輪雄太の3人を残すのみ。2種登録されていた森田晃樹を入れても4人だ。

J2第38節を終了し、首位のFC町田ゼルビアが勝点75に到達。3位東京V(勝点65)との勝点差を10とし、昇格一番乗りにリーチをかけている。2位の清水エスパルスが勝点67。4位のジュビロ磐田が勝点65。おそらく、自動昇格争いはここまでだろう。

気になるのは、破竹の7連勝で猛追してきた5位のジェフユナイテッド千葉(勝点61)だ。シーズン序盤は降格圏すれすれにいて、まったく眼中になかった。

オリジナル10同士、Jリーグの長い歴史のなかで東京Vが最も多くの対戦を重ねてきたチームが千葉である。リーグ戦の通算成績は東京Vの26勝14分21敗(カップ戦を含めると28勝14分25敗)。ただし、ここ3年は1勝1分3敗と分が悪い。

 

■残り4試合。ここで花を持たせてやるわけにはいかない

千葉は東京Vのターニングポイントにおいて深い関わりを持つ。思い出されるのは、2008シーズンのJ1最終節。コンサドーレ札幌が残留争いから早々に脱落し、17位の千葉が勝点35。16位の東京Vが勝点37。得失点差でも東京Vが有利で、勝点1を加えれば自動降格を回避し、J1・J2入れ替え戦に回れるはずだった(むろん、最終節を勝ってそれも回避したかった)。

命運の懸かった12月6日、東京Vはホームで川崎フロンターレ戦。千葉もまたホームでFC東京戦に臨んだ。先にゲームが動いたのはフクダ電子アリーナ。39分、FC東京がカボレのゴールで先制する。後半、東京Vはレナチーニョに得点を決められ、川崎に先制を許したが、千葉は長友佑都のミドルシュートを食らって0‐2とされていた。

東京Vは前半のうちに福西崇史を一発退場で欠き、10人となっていた。苦しい状況ではあるが、勝利が必要な千葉はもっと苦しい。大丈夫だ。最悪の事態は避けられる。そう思った。

 

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