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【六川亨の視点】2023年9月16日 J2リーグ第35節 大宮アルディージャvsロアッソ熊本

J2リーグ第35節 大宮アルディージャ0(0-0)3ロアッソ熊本
18:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者7,692人
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5月17日の第16節・いわき戦に1-2と敗れて22位に転落して以来、最下位が指定席になってしまった大宮。対する熊本も6月17日の藤枝戦に4-0と勝って以来、4分け9敗と3ヶ月も勝利から見離されて20位まで順位を下げた。両チームの勝点差は7(大宮27、熊本34)だが、大宮が勝てばその差は4に縮まる極めて重要な“6ポイントマッチ”だった。結果は熊本が3-0の快勝で14試合ぶりに勝点3を手にして18位に浮上。とはいえスコアほど差のある試合内容ではなく、大宮にとっては不運な失点が大差の結果となった。

先制点は鮮やかだった。俊足MF大本祐槻のカットインシュートはGK笠原昂史が好セーブを見せたものの、こぼれ球をFW松岡瑠夢がきっちり押し込んでリードを奪った。原崎政人監督は3人同時交代で反撃に転じ、FWシュヴィルツォクが決定的なシュートを放ったもののGK田代琉我のディフレクトに阻まれる。これが決まっていれば、大宮が試合の流れを取り戻したかもしれない。「チャンスの後にピンチあり」と言われるように、MF東山達稀のクロスからDFのOGで失点すると、左CKの流れからオフサイドトラップの逆を突かれてCB江崎巧朗にダメ押しの3点目を奪われてしまう。こうした、ちょっとした不運の積み重なりが現在の苦境を招いているし、それは大宮だけに限らず下位に沈むチームに共通した「サッカーの怖さ」でもあるだろう。

数字上はまだまだ残留の可能性を残している大宮。残り8試合には磐田や清水、東京Vなど優勝争いを演じているチームもあるが、“6ポイントマッチ”だけでなく“ジャイアントキリング”を起こせるかがJ2残留のカギを握るに違いない。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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