J論プレミアム

サポーターが自主的に企画・運営するサポバスでの小旅行(えのきどいちろう)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

サポーターが自主的に企画・運営するサポバスでの小旅行(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』百十二段目

 

■サポーターズ・バス、略してサポバス

J1第25節鹿島-新潟戦(カシマ)は夏の終わりの小旅行だった。試合自体は「アルビ完敗」といっていい内容で、話題の新加入・長倉幹樹もいいところを見せられなかったのだが、不思議と清々しい思い出になっている。カシマスタジアム回りで盛大に鳴いていたセミの声、青空、サポのざわめき、スタジアムイベント「真夏にたぎる男祭り」から(音漏れして)聴こえてきたプロレスラー蝶野正洋のマイクパフォーマンス‥。

8月最後の週末、今年の夏は暑かったなぁと思った。

「不思議と清々しい思い出」になってるのにはもうひとつ大きな理由がある。カシマスタジアムまでの往復、サポバスを利用したのだ。

アルビレックス新潟にはオフィシャルクラブパートナーの新潟交通(正確には「新潟交通の旅くれよん」)が運行するアウェーゲーム応援バスツアー(新潟発・着)の他に、複数のアンオフィシャル・バスツアーが存在する。この鹿島戦は「県北(新発田など)からのご出発が可能!」を謳うKijトラベルのバスツアーがあった。僕はバスを何台も連ねてアウェーに乗り込んでくるアルビサポの動員力に舌を巻く。今シーズンは久々のJ1だから、アウェー観戦にも自然、力が入っている。

が、それはあくまで業者さんが企画・実施したバスツアーだ。僕が感心するのはその他に複数のサポバスが運行されることだ。呼び方は「サポバス」で良かったかなと思って、さっき検索したら『FOOTBALL TRIBE』の記事「磐田FW後藤啓介への抗議に呆れ声も。仙台サポバス囲み関連の意見の波紋」がトップに出てきて、いや、そういうんじゃない、大体それは「仙台サポ」「バス囲み」という2つの言葉がつながった見出しで、「サポバス」じゃないだろうといささか慌てたのだった。

 

 

サポバス。おそらく正式には「サポーターズ・バス」だろう。サポーターが自主的に企画・運営するアウェー応援バスツアーだ。いちばんプリミティブなやつはマイクロバスを調達して、自分らで運転するパターン。プロの運転手じゃないから安全性に懸念はあるが、まぁ、仲間内でクルマに同乗するのを少し拡大したと思えばいい。

もっと大がかりなのは「サポーターが自主的に企画・運営する」ところまでは同じだけど、それを業者さんに発注するパターン。SNS等を通じて参加募集をかけ、採算ラインを目指す。

わりと多くのJクラブサポーターがサポバスを走らせている。僕はサポバスこそJリーグの本質というか、サポーター気質の発露だと思っている。組織力があって、自律性があるのだ。自分たちで発案し、企画に起こし、呼びかけ、集まって、つながりを深めていく。たとえば東日本大震災に際して、サポーター有志発の救援物資集め、ボランティア活動等が実施されたが、サポバス実施の感じととてもよく似ている。もちろんクラブ発の被災地救援活動もあったけれど、サポ発のものとクルマの両輪のように機能していた。

 

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