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【森雅史の視点】2023年6月10日 J1リーグ 第17節 横浜F・マリノスvs柏レイソル

J1リーグ 第17節 横浜FM 4(2-1)3 柏
16:03キックオフ 日産スタジアム 入場者数26,946人
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横浜FMサイドからすれば、こうなるだろう。先制点をPKで奪い、オウンゴールで同点にされたが失点したエドゥアルドがすぐに追加点のお膳立てをして前半終了。後半開始早々の隙を突かれて同点、73分にはフロートに身長を活かされて逆転された。だが途中投入された水沼宏太のクロスをアンデルソン・ロペスが決めて同点にすると、最後はマルコス・ジュニオールからのパスを宮市亮が執念で押し込んで逆転に成功した。劇的なドラマが至る所に詰め込まれていて、心震えた人も多かったのではないか。

だが一方柏サイドから見ても、いくつもの収穫があった。まず前半は横浜FMを前線の4人と後方の6人に分離することに成功し、相手のサイドが出てこないように両サイドからの攻めを効果的に行った。惜しむらくは細谷真大のヘディングが決まっていれば、あるいはクロスの精度が高ければ、前半のうちに同点、あるいは逆転してもおかしくなかったことだろう。もっとも前半に相手のオウンゴールを誘発したり、後半開始早々の戸嶋祥郎のゴールはサイド攻撃が実った形であり、73分のフロートの初ゴールではクロスがピタリと合った。他にもクロスバーを叩くシーンが2度あるなど、前年度チャンピオンを相手に一歩も引くことなく戦い抜いた。下位に低迷しているが光は見えている。勝てそうで勝てない試合が続くのは、夜明け前が一番暗いからかもしれない。

この日、一番割を食ったのは、相手の先制PKの原因になったり、2失点目で絡んだり、SPAと遅延行為で退場になったりした立田悠悟だった。手痛い教訓になっただろうが今後そのぶんを取り戻してほしい。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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