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【六川亨の視点】2022年10月29日 J1リーグ第33節 川崎フロンターレvsヴィッセル神戸

J1リーグ第33節 川崎Fフロンターレ2(1-0)1ヴィッセル神戸
15:04キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数22,110人
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首位の横浜F・Mが2-0とリードして前半を終了。2位の川崎Fも1-0のアドバンテージで前半を終了したものの、後半6分、小林祐希にFKから鮮やかな無回転シュートを決められて1-1のタイスコアに持ち込まれた。さらに後半17分、鬼木達監督はボランチのジョアン・シミッチに代えて大島僚太を投入し、橘田健人をボランチにコンバートしたが、逆に攻撃のリズムを失うことになる。

そんな状況で迎えた後半34分、ゴール前で小林悠が小林友希に倒され川崎Fはペナルティーアークで直接FKを獲得した。神戸の壁は6人。さらにその背後に小田裕太郎が横たわって壁の下をすり抜けたシュートに備える。一方、川崎Fはキッカーの大島と家長昭博が口元を手で覆いながら打ち合わせを終了。あとは主審の笛を待ってプレー再開というところで、主審はVARとオンフィールドレビューを示唆した。

結果はというと、小林悠が倒されたのはペナルティーエリアの外だったが、倒されるきっかけとなった左足へのアタックはペナルティーエリア内だったため、主審はPKにジャッジを変えた。その判断は正しい。しかし最初のファウルから5分を経過しての変更である。もしもVARを導入するなら、もっと早く判断できなかったのか。さらに小林友希のファウルは、ターンした小林悠を後追いする格好で残っていた左足ふくらはぎ辺りに接触したため、反則という判定自体、厳しいジャッジに思えてならない。

さらに後半アディショナルタイムは5分だったが、神戸が左CKのこぼれ球からシュートを打とうとしたところで主審はタイムアップの笛を吹いた。この判定に対し、PKには不満を漏らさなかった吉田孝行監督も「最後は変な終わり方だった。ロスタイム5分9秒でシュート態勢に入っていたのに終わることはなかった。プレーが切れたら終わりだったのではないか」と疑問を呈した。

「アウェーチームのハンデ」と言ってしまえばそれまでだが、何とかして最終節まで優勝争いを盛り上げようとしているのではないかと邪推したくなるような2つのジャッジだった。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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