徳島ヴォルティス、あと一歩及ばず。再認識したプレーオフの魅力(海江田哲朗)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
帰りのバスに乗り込む前、平塚まで駆けつけたサポーターのところに監督や選手たちが足を運ぶ。写真は、先制ゴールを決めた鈴木徳真
徳島ヴォルティス、あと一歩及ばず。再認識したプレーオフの魅力(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]二十三段目
▼敵地ながらも前半ペースを握ったのは徳島
12月14日、Shonan BMW スタジアム平塚――。
2019年のJ1参入プレーオフ決定戦、J1の16位となった湘南ベルマーレの相手は、J2の4位からプレーオフを勝ち上がってきた徳島ヴォルティスだ。
天高い青空、きりっと冷えた空気。さわやかな冬晴れの午後だった。ちょうど1年前もこんな具合のいい天気だったなあと思い出す。
昨季のプレーオフ決定戦、ジュビロ磐田のヤマハスタジアムに意気揚々と乗り込んだ東京ヴェルディは0‐2で敗れ、11年ぶりのJ1昇格の願いを木っ端みじんに砕かれている。納得感とは言いたくないが、それに近い地力の差を覚える敗戦だった。ふだんから戦っている相手の違い、プレーの水準の違い、これがJ1の力かと思わされた。
さて、今回の徳島はどうか。リカルド・ロドリゲス体制、3年目。現在はセレッソ大阪を率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督にも、東京Vで3年目のシーズンがあったら、どうなっていただろうと想像する。手堅く勝点を積み上げてプレーオフの舞台まではこぎ着けたかもしれないが、そこから先は明るいイメージが浮かばない。最後の関門、J1のホームで勝ち切らなければならないミッションは別次元の難しさがある。
僕の隣の席は、えのきどいちろうさん。湘南のクラブオフィシャル番組『湘南百人百話』(スカパー!)のインタビュアーを務めている。この対戦における心模様は聞くまでもない。
13時3分、キックオフ。徳島はすばらしい立ち上がりを見せた。1か月前、J2第41節で対戦したときより、ずっと落ち着いてボールを握れている。とりわけ効いていたのが、野村直輝だ。ボールをすいすい運び、いやらしいキープ、ゴールから逆算した意表を衝くパスもある。相手からすれば、めんどくさいことこの上ない。
躍動する徳島を前に、えのきど、むむむっである。
勢いに乗る徳島は、まんまと先制点をものにする。20分、野村のコーナーキックをヨルディ・バイスが頭で折り返し、鈴木徳真が右足でシュートを決めた。
これでゲームはより面白くなった。アドバンテージを奪われた湘南は前に出ざるをえない。徳島は勢いをやや押し戻されたが、それでもまだプレーに余裕があった。ボールを受ける際、放す際にワンフェイク入れ、味方に少しずつ時間と空間をつくった。一つひとつはほんのわずかだが、この積み重ねは存外大きい。
えのきど、徳島いいねえと感心しきりだ。
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