サッカーパックでこれを読もう!『今週の宇都宮徹壱おすすめ3本』(5/13~)
『タグマ!サッカーパック』ユーザーに向けて、サポートクラブ以外のコンテンツをご案内するコーナーが復活。5月は私、宇都宮徹壱が「これは!」と思った記事をおすすめとして紹介していく。ヨーロッパで奇跡の逆転劇が続いた今月の第2週、Jリーグはそれほど大きな話題はなかったようにも感じる。そんな中で私が見つけたタグマ!のおすすめ記事は、以下の3本だ。
■ここで攻守における基本コンセプトを再度確認。【5/10練習レポート】(栃木フットボールmagazine)
J2の第13節で、ようやくホーム初勝利を果たした栃木SC。順位も最下位の22位から18位に浮上して一息つくことができた。果たして、勝利の背景にあったものは何か。『栃木フットボールmagazine』では、試合前々日のトレーニングの様子と、田坂和昭監督のコメントを掲載している。番記者の鈴木康浩さんは、キャンプ前に見られたトレーニングが行われたことに着目。指揮官から「選手の中で迷っている部分があるようなので、だったらもう一回コンセプトを確認しようと」というコメントを引き出すことに成功している。まさに、番記者の面目躍如と言える仕事だ。
■【プレビューコラム】不思議な感覚で迎える、12年ぶりの「熊本県代表決定戦」。(熊本蹴球通信)
先週末はJ3の試合はなし。多くのクラブが、天皇杯の都道府県代表決定戦に出場していたからだ。ここでJFLや大学チームに負けるわけにはいかない。今季からJ3で戦うロアッソ熊本も、出場権獲得を懸けて東海大熊本と対戦し、3-0で勝利している。熊本の番記者、井芹貴志さんの『熊本蹴球通信』によれば、クラブが県代表決定戦を戦うのは「JFLの2シーズン目だった2007年以来12年ぶり」で、大津町運動公園球技場での試合もJFL時代以来とのこと。J3に降格したからこそのエピソードだが、それを嘆くのではなく、むしろ深い感慨を覚える姿勢に好感が持てた。
■久保建英TTポーズ、そのわけは【無料公開/トピックス/J1第11節】(トーキョーワッショイ!プレミアム)
最後にJ1の話題から。首位のFC東京はジュビロ磐田とのホームゲームに1-0で勝利。決勝点を決めたのは、これが今季初ゴールとなる久保建英であった。後半39分に左足ボレーでネットを揺らした直後、両手で「T」の形を作る久保のパフォーマンスについて、無料記事で伝えたのが後藤勝さんの『トーキョーワッショイ!プレミアム』。わずか332文字の短信ながら、東京サポ以外にも多く読まれていたようだ。記事によれば、元ネタは『TT兄弟』で、実は広報スタッフからの“指令”とのこと。旬なネタをタイムリーに切り取り、あえて無料公開とする判断の良さを評価したい。
宇都宮徹壱(うつのみや・てついち)
写真家・ノンフィクションライター。
1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年に「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追い続け、スポーツナビを中心に積極的な取材活動を展開中。FIFAワールドカップ取材は98年フランス大会から、全国地域リーグ決勝大会(現地域CL)取材は05年大会から継続中。
10年に有料個人メールマガジン『徹マガ』を開始(16年6月末まで)。17年7月より『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』の配信を開始。