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無料記事[Fリーグ2016/2017第6節]湘南ベルマーレ・横澤直樹監督「フウガさんは、一番最後の最後で点を獲って、最後の最後の最後の失点しそうな場面で頑張り切れる、そこの差が出た」(2016/8/3)

横澤監督は“試合はシナリオどおりに運んでいた”と語った。

 

試合開始3分、ロングボールの巧みな処理から抜け出した安嶋が先制ゴールを決め湘南はこれ以上ない入りを見せた。

 

前半9分にはロドリゴがゴール正面12mの位置から反転シュート、すみだゴールに突き刺し2-0とする。

 

前半12分、清水が植松の足の甲を踏んでしまい植松はその後ピッチに戻れなかった。彼の突破力と決定力が削がれたのは湘南にとって痛手だったし誤算だった。

 

SuperSports XEBIO Fリーグ2016/2017 第6節
湘南ベルマーレ 3-4 フウガドールすみだ
2016年7月23日(土) 秦野市総合体育館 観客数:899人
[得点経過]
1-0 03分53秒 湘南 3 安嶋健至
2-0 09分20秒 湘南 10 ロドリゴ
2-1 17分30秒 すみだ 11 清水和也 ※PK
3-1 19分49秒 湘南 10 ロドリゴ
3-2 19分59秒 すみだ 8 太見寿人
3-3 29分46秒 すみだ 11 清水和也
3-4 33分02秒 すみだ 9 田村佳翔

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

■記者会見
(試合を振り返って)
フウガは得点する方法を知っている

横澤直樹監督 お疲れ様です。(そういったあと無念を噛み締めるように間を置いて)前回、秦野で行われたのが1年前ということで、またこの体育館で皆さんの前でプレーをすることができて選手たちも本当にうれしい気持ちもあるし感謝する気持ちもすごくあるっていうのは今日のプレーを見て感じました。サポーターの皆様と一緒に戦っている姿っていうのはすごく印象的で、ともに戦っているという、そういう気持ちで戦いました。試合に関してですけど、試合の展開の部分で話をするとシナリオどおりには対策どおりには運んでいたんですけど、対戦してみて今何故フウガさんが波に乗ってるか勝利をし続けているかというところが今日はすごく分かりました。やはり我々との決定的な違いというのは得点する方法を知っているんです。得点するってことがどれだけ大切か、それがすごく大きく出た、大きな差が出た試合だったなと。うちの選手も確かに頑張っていましたが、まだまだ成長するべき課題がかなり出た試合でした。

 

前半17分、太見が倒されて得たPKを清水が決めてすみだが1-2とする。

 

前半残り11秒、右サイドを突破した中村からのボールを、ロドリゴがこの日2点目のゴールにつなげ再び2点差とする。だが、このゴールが湘南にとってこの日最後のゴールとなってしまった。

 

前半残り1秒でキックインから太見が決めて1点差に迫って折り返した後半、最初のゴールは清水による同点ゴールだった。須賀監督はじめベンチの全員がガッツポーズ。

 

そして後半13分、すみだは田村のゴールで逆転に成功する。

 

(一問一答)
うちはフウガと違って戦略戦術が多彩だが

Q 前回の名古屋戦もそうだがサポーターの人たちはいい試合をしたというと思う。今後、こういった試合を勝っていくためにどういうところが足りないのか。

横澤 うちはフウガさんと違って戦略、戦術が多彩なんですね。ほかのチームにないくらい多彩なんです。でも点を決められない。フウガさんは、とにかくよく走って、一番最後の最後で点を獲って、最後の最後の最後の失点しそうな場面で、そこで頑張り切れる、もう、とにかくそこの差なんで。やっぱり勝っていくためにはフウガさんが今持っているところをまねするのか、そこに近づいて、まず何かそこから、何故フウガさんが得点を重ね続けられるのか、っていうところに注目することが重要なのかなと。それが今のうちに足りないところだと思います。あと、敵対心だと思います。敵対心。それがうちには足りないところです。

Pivo! 後半、湘南はボールへのアプローチが遅くなったのかなと感じた。その一方ですみだはより速さが出てきた。この差はやはりフィジカルの差なのか。

横澤 それ、後半の初めですね。後半の初めはあえて攻めさせたんです。相手が負けてる状態なんで、攻めてくることは分かってるんですけど、ただ、そのときに、どんな攻め方をして、どこが弱いのかっていうのを少し一番最初のセットで試してみて。その次に我々はただ引いてるだけじゃなくてプレスにいく戦術を加えたときに相手の動きが止まった。じゃあ、その止まったときにパスコースが限定されている中でしっかり取り切れなかったっていうのが課題でした。ただ、攻めさせる、守らせる、動かさせないっていうのはシナリオどおりでした。

Q 植松くんが接触で足を痛めたが、状態は?

横澤 今日の試合では片足でジャンプすることも難しくて。無理をすれば試合には出せたんですが、でも将来のことを考えたりすると、もうちょっとしっかり休んで。悔しい気持ちはすごく分かるんですけど、本人も出る気持ちでいたし、その気持ちをくんであげたかったんですけど、監督としては無理はさせたくなかったのでその後の出場は断念しました。

Pivo! 名古屋戦に続くホームでの1点差の敗退だが、どちらもパワープレーを選択していない。それはどんな判断に基づいているのか。

横澤 僕らが負けてるときにですね? ディフェンスの部分で、さっきいったとおりシナリオどおりにいってるので、相手がそのとおりに動いてくる、そのとおりにボールを運んでくる。狙いどおりにいってくるので、あえてパワープレーをする必要がないなということです。

 

[取材後記]
時には相手を揺さぶる奇策を!

パワープレーが逆転の唯一の策だとは思っていない。ただ、使い方、使うタイミングによってはこれほど効果的な策が他にないこともまた事実だ。前節の話になるが、第5節の名古屋戦の後半およそ13分過ぎ、名古屋はキャプテン星がカウンターを仕掛けた植松を倒して一発レッドで退場。湘南はここから2分間、相手が1人少ない絶好のチャンをつかんだ。しかし、ここで湘南が選択した攻撃パターンは、外から見る限り、極めてオーソドックスなもの。結局、ゴールを奪えなかった。この2分間の名古屋のフィールドプレーヤー(FP)はセルジーニョ、安藤、橋本の3人。特にトップに昇格したばかりと経験の浅い橋本が5人対4人の状況でパワープレーを仕掛けられたら、名古屋ディフェンスをパニックに陥れた可能性、大だったろう。結果論であることを承知のうえでの話だが、名古屋が動揺する様を見たかった。
今節も後半開始早々から湘南にパワープレーのチャンスはあった。前半残り1秒で湘南はすみだの相手の虚を突くキックインから太見に4-3と1点差に迫るゴールを許している。前半終了直前に集中を切らすことなく奪ったゴールという意味で、実にすみだらしい得点といえた。点差はわずか1点。ハーフタイムですみだは“やるべきことはひとつ、ゴールを奪って勝利すること”と気持ちをひとつにして後半に臨んだ。横澤監督がいうとおり“点の獲り方を知っている”すみだが怒とうの攻撃を仕掛けてくることは火を見るより明らか。そこで湘南が取るべき道は、イケイケの相手のペースを乱すことではなかったか。そしてそのための最善の策がパワープレーだ。しかも湘南の若きゴレイロ上原は通常のゲーム運びの中でも大胆にもハーフまで上がって相手ゴールを脅かすロングシュートを放つ大胆不敵な19歳だ。FPをわざわざゴレイロに仕立てるまでもなくパワープレーを仕掛け相手を揺さぶるのだ。相手が動じなければすぐ元に戻せばいい。そしてまたやる。要は、相手のディフェンスを揺さぶり、相手の攻撃時間を削り取るやり方だ。2014/2015シーズンのプレーオフで王者・名古屋を脅かした大阪の手法だ。このとき大阪は自分たちのペースで間断なくパワープレーを仕掛けたが、このときのゴレイロはFPではなく本職のゴレイロ宮竹。足下のうまいゴレイロという意味で、上がるのが得意な上原を擁する湘南と酷似している。やって損はなかった。ロングフィードで中盤を省略するのもいい。ただし、それ一辺倒というのはどうか。違う戦術も加味しつつ揺さぶって相手のペースを乱す。そんな湘南の戦い方を見てみたかった。
いずれも結果論であることは承知のうえだ。ただ、湘南の指揮を預かって3年目、横澤体勢に今一番必要なのは結果だ。小野と安藤という主力が移籍した今季、監督も選手も結果にこだわって奮闘しているだけに結果を出してほしいと切に思う。そのために必要なのは“何かをやらかしてくるチーム”という相手をビビらせる戦い方だろう。揺さぶって揺さぶって相手の懐をえぐる。前頭が横綱に勝つにはときに奇策も必要だ。

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