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湘南ベルマーレ・相根澄監督インタビュー1『第2クールまでに監督として2つのミスを犯してしまった』(2013/5/21)

湘南ベルマーレの相根澄監督。選手として華麗な経歴を持って監督になった。

 

「え、フットサルにも日本代表があるんですか!?」何ていわれた時代から、相根澄(さがね・きよし)はフットサル界で一貫して陽の当たる場所を歩んできた。そのプレー態度は一切の妥協を排し、常にトップチームでプレーしてきた。日本代表ではアジアの宿命のライバル、イランとの雌雄を決する戦いの舞台で苦杯をなめてきたがキャプテンとしてチームを牽引した。しかし監督としてここまで結果を出せていない。Fリーグ2011開幕と同時にステラミーゴいわて花巻で新人監督として指揮を執るも最下位に終わり、しかもこの年を最後にチームがFリーグを退会したため監督を退任。2012年に湘南ベルマーレの監督に就任するもののチームは9位と低迷。それでもシーズン終盤には目指すフットサルが出来てきたという手応えを持っている。その相根監督に、新シーズンを迎えるにあたって、Fリーグ2012シーズンを振り返ってもらった。ご多分に漏れず湘南も選手の退団などがあったが、インタビューは選手の動きが出る前に行ったものであることをお断りしておく。

 

文・写真◆デジタルピヴォ! 山下

 

 

昨季は開幕戦からつまずいた

Pivo! 監督としての2シーズン目が終わったが今の気持ちは?

相根 まぁ本当に、監督としては2年目なんですけど、1年目のシーズンと比べて2年目のほうがすごくあっという間だったなというふうに感じますね。

 

Pivo! 監督初年度のほうがバタバタしてあっという間に過ぎたように思うけど、そうではないんだ。

相根 はい。1年目は若い選手や経験のない選手が多かったので、シンプルに自分の考えと方向性を伝えるシーズンで。自分の頭の中もまとまっていましたし、選手もそこに向けて迷いなく進んでいたというイメージで、すごくシンプルな年だったなと2年目をやってみて感じますね。

 

Pivo! それが2年目になって、あっという間という感覚。それはどういうこと?

相根 2年目は逆に、やることがすごく多かったなと。経験ある選手たちと一緒に戦うシーズンで、想定内というより想定外のことのほうがやってみて多かった。経験ある選手ということでいうと、私が監督をやらなくても、市原誉昭が監督をやろうが藤井健太が監督やろうがジオゴが監督やろうが、みんなそういうことができる人たちじゃないですか。その中で自分がやっていくわけで、彼らに頼る部分も最初はあったかなと。

 

Pivo! “やることが多かった”ということだが、そのために忙しくてあっという間に過ぎたという感じ?

相根 そうですね。それプラス、考えることが本当に多かったなと思います。象徴的なのが開幕戦の話ですけど、町田との一戦で、自分たちが1点差で負けていたんですね。それでパワープレーを仕掛けたときに、うちには藤井健太という、今まで残り0秒とかでブザービートで決めてきたような大ベテランがいたのでゴレイロとして出した。もちろん信頼しているわけじゃないですか。ただ自分は、彼の1年間の(選手としての)ギャップというのを判断しきれなかったところがあって、目の前で同点となるゴールを外したんですよね。ヘディングシュートを打ったんですけど、バーに当たって入らなかったという。そのあと相手にパワープレー返しをやられて、結局3-1で負けたんです。もちろん、ほかの選手が出ていても同じことになったかは分からないですし、健太だからそこまでいけたんですけど、健太は実は1年間ブランクがある人間なんだということをちゃんと思って使わないといけなかったなと思いました。

 

Pivo! そういうことも含めて、頭の中でめぐらせなければならないことが多かったと。

相根 そうですね。本当に、考えなきゃいけないことが多かったシーズンかなと。

 

Pivo! その開幕戦があって、そこから3連敗と苦戦が続いた。ようやく第4戦で大分に勝ったんだよね。

相根 そうなんですよね。でもその前に、開幕戦が2節連続でセントラルであったので、その第2節で名古屋と戦ったんです。それは2点差ではあったんですけど、けっこう名古屋を追い詰めることができた試合ではあって。それでみんな自信を持って第3節の北海道戦に臨んだんです。でも北海道の試合は、若い選手が、キーパーと2対1や3対1のシチュエーションでシュートを外して。いってしまえば、前にキーパーだけで3人ドフリーで、3-0みたいな状況ですよね。しかもそれがまた逆転ゴールだったりしたんです。だから、選手の使いどころと、若い選手に経験を積ませなきゃいけないところと、そこらへんの当てはめ方が難しかったですね。もし北海道戦のそれが開幕戦とは逆に藤井健太だったら確実に決めているはずですし。まぁそれも経験かなとすごく感じましたね。とれるはずの勝ち点がとれていない中でリーグが進んでいったという感じでした。

 

4節ホーム初戦で大分戦に初勝利

 

Pivo! それがようやく、4戦目の大分戦で初勝利、しかもホームで勝てた。

相根 はい。でも不思議なもので、この試合がよかったかというとそうではなくて、前の名古屋とか北海道戦の試合のほうが内容は間違いなくよかったんです。それは改めてフットサルの難しさを感じましたね。内容がいいだけでは勝てないんだという。逆に内容が悪くても、大分戦は勝つことが出来て。

 

Pivo! 内容が悪くても勝てた要因というのは?

相根 あの試合は、気持ちの面がすごく表れた試合ではあったと思うんです。もしかしたらあまりプレー面や技術の面では関係ないのかもしれないですけど、やっぱりここぞって場面で気持ちはどの世界でも大事なのかなと。みんなで一緒に勝とうという気持ちが見えることが本当に大事だなと思いました。あの試合はホーム開幕戦だったので、特に勝たなければいけない試合だったというのは感じましたね。

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