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大分トリニータの新カタノサッカーは自陣誘引疑似カウンターか、圧縮封鎖を強めるか。片野坂知宏の二軸戦術×二軸世代チャレンジ

気がつけばもう開幕直前!
FUJIFILM スーパーカップで天皇杯王者・川崎フロンターレが前年度J1王者ヴィッセル神戸を下して優勝したかと思えば、そのフロンターレが中2日で山東泰山(中国)とACL決勝トーナメントROUND16の2ndレグで対戦し、敗れてしまう事象が発生。開幕前からあまりの強度・濃度の高い試合が続いていたりします。

アジアカップやACLトーナメントというものは、J2・J3のチームからは一見、直接関係があるようなことではありません。ただし、大分トリニータクラスのチームとなれば話は異なります。昨シーズンのACL2022-2023でアジアの頂点に立ったのは浦和レッズ。まだまだ記憶に新しい2021年12月19日第101回の天皇杯決勝、大分から…最後の最後、後半アディショナルタイムで勝ち越し点を決めていったチームが、アジアを獲りました。

「グッドルーザーでいよう」

第一次片野坂体制最後の言葉はまだ覚えていらっしゃる方がほとんどでしょう。
第二次片野坂体制は、あの戦列な試合のレベルを超えに行く戦いです。2016年にJ3を経験するも、2019年にはJ1第9位に到達。未曾有の2020年も経験し、2021年はリーグ戦4チーム降格のスクランブル体制の中で降格となるも、天皇杯準優勝。第一次体制時を超えていく、新たな歴史のドラマを、見ていきましょう。

◎大分トリニータが持ちうる基準

今季のJ2リーグは、昨季から2チーム減少し、J1・J3と共に統一規格の20チーム・38試合制となりました。そのため、積み上げ数値で比較分析を行うことはできません。しかし、一試合平均の数値であれば比較は可能となります。
大分は過去10年間で二度の昇格と、二度の降格を経験しています。
その際の、得点数と失点数に着目してみましょう。
さらに、昨季昇格を果たした町田・磐田・東京Vの成績も併せてチェックしてみましょう。

●降格時
2015J2 平均得点0.98 平均失点1.21
2021J1 平均得点0.82 平均失点1.45

●昇格時
2016J3 平均得点1.67 平均失点0.80
2018J2 平均得点1.81 平均失点1.21

●2023J2から昇格した3チームの成績
町田 平均得点1.88 平均失点0.83
磐田 平均得点1.76 平均失点1.05
東京V 平均得点1.36 平均失点0.74

東京Vのみ、平均得点がやや少ないものの、その分平均失点は最も優秀な数値を残しています。カテゴリーや年度が異なったとしても、「平均得点-平均失点=0.6」以上の数値が必要となりそうです。

それこそ、2015大分と2018大分は興味深い事象です。それぞれ降格と昇格時の数値でありながら平均失点は同一。どれだけ得点数の積み上げができたかで大きすぎる結果の差が生み出されました。

第一次片野坂体制時は、2016のJ3時代を除けば、平均失点1.00を切ったことはありません。そのため、戦術方式が大きく変わらない場合は、試合内で一失点は覚悟の上、得点を積み上げる型の方向性にはなるでしょう。そのため、昨季の3チームのやや守備数値の高いデータよりは、
前回昇格時に残した数値である平均得点1.81、平均失点1.21

ここを基準点として、より得点を積み上げられるか、失点を減らすことができるかが昇格に向けたポイントとなってきそうです。

◎2023下平大分トリニータが残したデータ

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