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「あぐらをかいているクラブはいつも補強を外す」正直代理人・稲川朝弘が明かす成功するブラジル人選手獲得の極意

欧米列強のような自前の補強ネットワークを持たないクラブが多いJリーグでは、代理人の存在はひときわ大きな意味を持つ。いま注目を集めるのがブラジル人選手を中心に優良な外国籍選手を次々とJに送り込む稲川朝弘氏だ。横浜F・マリノスのエウベル、アンデルソン・ロペス、川崎フロンターレのジェジエウ、マルシーニョ、エリソン、名古屋グランパスのランゲラック、セレッソ大阪のレオ・セアラ、ルーカス・フェルナンデスなど有望な助っ人を数多く抱えている。長年にわたる誠実な仕事ぶりにサッカー関係者の信頼も厚い。

ときに暗躍する存在として見られることもある代理人だが、クラブや選手から信頼される代理人とは? 補強で成功するクラブと失敗するクラブの傾向とは? そして優良なブラジル選手を獲得する秘訣はどこにあるのか? サッカー界きっての正直代理人を直撃した。

【主な内容】
・骨の折れる交渉だった「フッキの再来」との契約
・ブラジル人選手にとって日本は欧州にも負けない栄転先
・「コストと見合っていない選手ばかり」補強に失敗するクラブの特徴
Jリーグで活躍するブラジル選手を見つけるノウハウとは?
・代理人視点で見た補強で成功しやすいクラブとは?
Jクラブの経営を大きく揺さぶりかねない外国籍選手の居住者問題

インタビュアー/海江田哲朗
※インタビューは3月中旬に行いました

 

■骨の折れる交渉だった「フッキの再来」との契約

――これまで稲川さんは数々の国内外の選手の移籍を仲介し、特に専門分野であるブラジルから連れてきた多くの選手がJリーグで活躍してきました。日本で結果を出せるブラジル人選手の見つけ方や、成功の確率を上げるクラブとの関係性などについて聞かせてください。今季の目玉はボタフォゴから獲得したエリソン(川崎フロンターレ)でしょうか。フッキの再来とも噂されています。

「日本人にないものを外国籍選手に求めるとなると、まずはフィジカルの強さ、速さ、抜群の巧さ、この3つがポイントに挙げられます。エリソンはそれらをすべて持っている選手です。ただ、ケガが多くてそこまで目立っていなかった」

――かなり骨の折れる交渉だったのでは?

「レアンドロ・ダミアンとの契約が2023シーズンで終わることが見えていて、川崎はアタッカーをもうひとり必要としている状況でした。そこで、昨年の夏にエリソンの獲得に動いたんですが、そのときは交渉をまとめられなかったんです。結果、強化部が独自のルートでフリーの選手を探し、(バフェティンビ・)ゴミスを補強することになります。一度は失敗したけれど、やはりエリソンが一番だと再び獲得に乗り出し、手を尽くして契約にこぎ着けたという流れ。24歳の年齢で獲得できたのはよかったですね」

――今季、エリソンは開幕からゴールを連発しています。最終的にどれぐらいの成果を残すとイメージしていますか?

「近年のJリーグのストライカーではダントツの能力。グループがきちんと機能すれば、勝手にゴールを取りますよ。おそらく20点は超えるでしょう。フィニッシュの仕事だけではなく、守備で二度追い、三度追いができる。じつを言うと、そこの長所は把握し切れていなかったんです。守備も献身的にできる選手と見ていましたが、あそこまで連続してプレスをかけられる選手とは」

 

■ブラジル人選手にとって日本は欧州にも負けない栄転先

――過去、レナト、レアンドロ・ダミアン、エウシーニョ、ジョアン・シミッチなど、稲川さんの手がけた移籍で多くの選手が川崎でプレーしています。クラブと協力し、外国籍枠を活用した補強戦略をどのように進めているんですか?

「マルシーニョが結果を出していて、エリソンと同じタイミングで入ったゼ・ヒカルドも非常にいい選手です。ジェジエウが故障しているところが少し問題ですけどね(その後、3月の鹿島戦で復帰)。Jリーグのなかで唯一、川崎は弊社が年間契約を結んでいるクラブ。よって、基本的にすべてのポジションを常時リストアップし、選手の契約の状況や海外移籍の希望などを計算に入れつつ、いつでも新しい選手を補強できるように態勢を整えています。強化部のスタッフと一緒に海外視察にいくこともありますね。そうしたほうがより精度が高まりますので」

――Jリーグ全体を見渡し、いい外国籍選手を補強したなと思うクラブは?

 

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