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【六川亨の視点】2024年4月3日 J1リーグ 第6節 FC東京vs浦和レッズ

J1リーグ第6節 FC東京2(0-1)1浦和
19:33キックオフ 国立競技場 入場者49,005人
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前節の川崎F戦は、GK波多野豪の退場があったとはいえ、今シーズン最低の試合内容で0-3と完敗した。それから4日後の浦和戦、ピーター・クラモフスキー監督はスタメンを6人入れ替えた。GK野澤大志ブランドンは波多野が出場停止のため必然のスタメン。DF陣はベテランの長友佑都と森重真人、木本恭生に代えてアキレス腱断裂から復帰した中村帆高、19歳のCB土肥幹太(GK土肥洋一の息子)とエンリケ・トレヴィザンを起用。前線では左右のFW仲川輝人と遠藤渓太に代えて19歳の俵積田晃太と21歳の安斎颯馬をスタメンで送り出した。この結果、スタメンの平均年齢は22・73歳。川崎F戦の27・45歳から5歳近くも若返った。さらに川崎F戦とはシステムでも大きな変化があった。これまでは4-3-3をベースに、今シーズンは松木玖生をトップ下で起用することが多かった。しかし浦和戦では松木を前線に上げて荒木遼太郎と2トップを組む4-4-2に変更。このシステムチェンジが攻撃陣の活性化につながった。

 

荒木の1トップではどうしても集中マークを受けやすい。しかし松木が前線に入ることで、荒木もトップから落ちてきたり、両サイドに流れたりするなどボールを受けるために自由に動くことができた。そして荒木の動きを補完するように、松木が絶妙のポジショニングで攻撃に厚みを加える。まるで長年一緒にプレーしているかのように息の合ったプレーを見せた。さらに俵積田とバングーナガンデ佳史扶の左サイドから攻めるという意思も統一されていた。後半5分の同点弾は俵積田、佳史扶とつないでマイナスのクロスを荒木がワントラップから決めたもの。13分の決勝点は松木のサイドチェンジから、俵積田のクロスをゴール前に飛び込んだ松木が鮮やかなボレーで突き刺した会心のゴールだった。

 

中村の負傷交代は気になるところだが、世代交代と外国人頼りから脱却して新たな攻撃パターンの構築に可能性を感じさせた浦和戦。しかしながら手放しで喜んでばかりいられない。4日発表のU-23日本代表に荒木、松木、佳史扶の3人が選出されたら、7日の鹿島戦はもちろん東京V戦や町田戦にも出場できず、日本が勝ち進めば5月のGWまで不在を強いられる。これはこれでクラモフスキー監督も頭が痛いことだろう。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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