J論プレミアム

【森雅史の視点】2024年2月28日 パリオリンピック2024 女子サッカーアジア最終予選 日本女子代表vs朝鮮民主主義人民共和国女子代表

パリ五輪女子アジア最終予選 なでしこジャパン2(1-0)1朝鮮民主主義人民共和国女子代表
18:34キックオフ 国立競技場 入場者数20,777人
試合データリンクはこちら

 

日本女子代表が粘り勝った。

朝鮮民主主義人民共和国女子代表は81分、スルーパスに抜け出したキム・ヒェヨンが好守を見せていた山下杏也加を破って一気に追い上げムードに。日本女子はボールをつなげず大きく蹴り返すしかなかったが、池田太監督が89分に投入した植木理子がうまく時間を使って一番苦しい時間帯から脱し、アディショナルタイム5分を守り抜いた。

もっとも、試合をおしなべて見ると日本のペースだったと言えるだろう。お互いに5バックにして失点を防ぐ攻防となったが、やはり中盤の構成力は日本のほうが上。その強みを生かすことで相手にペースを渡さなかった。26分、クロスバーに当たったボールの跳ね返りを高橋はなが押し込んでまず1点。77分には清水梨紗のクロスに藤野あおばが頭で合わせて追加点を挙げた。

残念だったのは、VARが導入されていなかったこと。VARがあれば朝鮮民主主義人民共和国女子代表の、38分に日本ペナルティエリア内でハンドがあったのではないか、45分の山下のセーブはゴールだったのではないか、という疑問にすっきりと答えられたはずだった。そうすれば朝鮮民主主義人民共和国女子代表のリ・ユイル監督が「両チーム全力を尽くして大変素晴らしい内容だったと思います。私ども挑戦は勝利を収めることができませんでした。それに関しては非常に残念ではありますけれども、今回の試合を通じまして日本、そして私ども朝鮮民主主義人民共和国のサッカーがこれからさらに発展するきっかけになるものと思います」と振り返る好ゲームがさらに輝いたことだろう。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ