『THE国立DAY』は「そしな」のご提供(海江田哲朗)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
『THE国立DAY』は「そしな」のご提供(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]百二十三
■16年ぶりのJ₁
開幕前の時期、東京ヴェルディの歴史をまとめる企画に携わった。なんたって16年ぶりのJ1昇格だ。これまでの歩みを振り返るよい機会である。1993年、Jリーグの幕開けから自分が直接的に立ち会っていない初期を含め、年代ごとのトピックを洗い出す作業に取り組んだ。
いろいろあったなあと大小の出来事を思い起こす過程で、何度も頭に浮かんだのが「そのときは知る由もなかった」という使い古されたモノローグ。ストーリーの急展開を示唆するお約束のサインである。以下、「そしな」と略す。
たとえば、2004シーズンの天皇杯で優勝し、スーパーカップも制覇。タイトルを連取し、優勝争いのダークホースと目されながら、クラブ史上初のJ2降格がその先に待っているとは夢にも思わなかった。かなりインパクト大の「そしな」である。
2008年から2010年の落差もエグかった。リーグトップのチーム人件費(約26億円)を投じながら二度目の降格となり、でたらめのやり方をした日本テレビは翌年経営から撤退。東京Vは存続危機に陥り、選手たちは穴の空いたソックスでプレーした。
どのクラブも起伏を経てきて、目を疑うような「そしな」に直面しているだろうが、東京Vの場合はその数が多すぎる。しかも、大半が極端に悪い方向へと転ぶ。こういうのはたまにあるから効果的なのだ。しょっちゅう急ハンドルを切られては意外性などあったものではない。
いくらスポーツは筋書きのないドラマと言ったって、こう脈絡がなさすぎては付いていけない気持ちになる(付いてきたんだけどさ)。宿敵のFC東京を率いていた城福浩監督が、のちに東京Vの指揮官に就任してJ1に引っ張り上げたのはじつに稀有な「ラッキーそしな」だった。
■THE国立DAY
1月19日、都内で開催された『2024 Jリーグ開幕PRイベント』に足を運んだ。昔行われていた『Jリーグキックオフカンファレンス』(名称がプレスカンファレンスの時期もあった)はJリーグ全クラブの監督・選手が集まる盛大な催しで、全国各地のライター仲間と会える貴重な場でもあった。僕は赤本(Jリーグイヤーブック。さまざまなデータが詰まったライター必携の一冊。現在はデジタル化)を一刻も早く手に入れたくて毎年訪れていたが、J1限定に縮小されてからは足が遠のいていた。
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