J論プレミアム

【田村修一の視点】2023年11月8日 AFCチャンピオンズリーグ ヴァンフォーレ甲府vs浙江FC

AFCチャンピオンズリーグ MD4 ヴァンフォーレ甲府4(2-0)1浙江FC
19:00キックオフ 国立競技場 入場者12,256人
試合データリンクはこちら

 

甲府が浙江FCに快勝した。

選手個々の能力の平均値をとったときには、甲府を上回るクラブはアジアにいくらでもある。だが戦術理解力と実践のための規律とフィジカルの強さ、個の判断の速さと迷いのなさに関しては、恐らくアジアのトップであるといえる。それほどまでに甲府の戦い方は洗練されていた。スタッフが分析したデータを、篠田監督が的確に整理して選手に伝えた結果でもあるのだろう。

今、日本サッカー界は、何をどうすれば世界のトップレベルまで到達できるかを理解した。その理解度は、日本代表やJ1
だけにとどまらず、日本サッカー界の隅々にまで浸透しつつある。もちろん甲府もそのひとつで、ここまでの素晴らしいパフォーマンスは甲府というクラブの偉業ではあるが、日本サッカー全体が底上げの努力を合理的に続けてきたことの結果であるのも間違いない。

同じ日に浦和が浦項に敗れ、グループリーグ首位通過の可能性が消えた。現アジアチャンピオンの低迷は確かにショッキングではあるが、何が進歩の本質であるかを考えることなしには未来はあり得ない。甲府が結果を出している今であるからこそ、ブレることなくそのことを考えて欲しい。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ