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【森雅史の視点】2023年10月7日 J2リーグ第38節 東京ヴェルディvs大分トリニータ

J2リーグ第38節 東京V 1(1-0)0 大分
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数8,755人
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サッカーは2分で決まることもある。

キックオフから15分は大分にとって理想的な展開だった。鋭い出足で東京Vを押し込み、サイドチェンジを効果的に使って攻撃を組みたてた。ところが16分からの2分間でこの試合の行方が決まってしまう。

16分、中原輝が右サイドで粘ってカットインし、左サイドの齋藤功佑につなぐ。齋藤は最初のコントロールが乱れたものの、落ち着いて後方の稲見哲行へパス。稲見はペナルティエリアの外から左足でゴール右に突き刺した。

この失点後のキックオフからボールをつなごうとした大分に痛恨のミスが生まれる。パスを受けたペレイラのトラップが大きくなるところを染野唯月が見逃さず、素早く奪ってゴールへ迫る。慌てたペレイラはスライディングタックルで染野を倒し、一発退場に。これで大分は1点ビハインドを背負い、なおかつ人数も1人減ってしまった。

これ以上失点したくない大分は慎重にゲームを運び、東京Vにチャンスを作らせない。だが、その代償として自分たちも得点の匂いがするエリアまで進出できなくなった。大分は70分に長沢駿、藤本一輝、松尾勇佑と3枚替えして勝負に出るが、重心を後ろに置かざるを得ない状況に結局ゴールは生まれなかった。

この勝利で東京Vは磐田と勝点65で並び、得失点差で1上回って3位に浮上。大分は8日に試合がある他チームの結果次第では大きく順位を落とす可能性が出てきた。「魔の2分間」が悔やまれる展開だった。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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