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【森雅史の視点】2023年8月26日 J2リーグ第32節 FC町田ゼルビアvsモンテディオ山形

J2リーグ第32節 町田 5(3-0)0 山形
18:04キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数6,575人
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町田が長期離脱したエリキの不在を感じさせない大勝を収めた。

攻撃の中心となったのは藤尾翔太。1対1で仕掛けて先制点になるPKを獲得すると、5点目は髙橋大悟から戻されたボールを冷静に蹴り込んだ。他にも4点目のバスケス・バイロンのゴールの時はわずかにボールに届かなかったり、終了間際にはGKが前に出ているのを見てセンターサークルを少し超えたところからロングシュートを放つがこれはクロスバーに当たって外れたりと、多くの得点機に絡んでいる。

また、黒田剛監督はチームマネジメントの上手さも見せた。交代出場が続いていたミッチェル・デュークを先発に復帰させるとキャプテンに指名して奮起させる。そのミッチェル・デュークは今週来日した家族の前で3点目を挙げて試合を決定付けた。山形は先制点を奪われて後手に回ってしまったのが響いた。試合終了間際には何度も決定機をつくり出したが、どれも入らなかったのは運も味方しなかったということだろう。

ところで、この試合で書き残しておきたいことがある。

60分、町田のゴールキックをミッチェル・デュークが競ったところで副審が旗を上げ、主審が笛を吹いた。オフサイドの判定だったがこれは明らかに誤審で、ゴールキックにオフサイドはない。そのため主審はドロップボールで再開することにした。山形の選手もなぜそんな再開になったのか分からなかったのだろう。町田のGKに蹴って戻さず、そのまま自分たちのボールとしてつないでいた。

オフサイドに取られたことも、山形がボールを保持したことも、町田が猛抗議してもおかしくない場面だった。だがほとんど態度に出さず、黒田監督も副審に確認しただけで終わる。その気持ちの切り替えの早さが、もしかしたら町田の集中力を持続させたのかもしれない。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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