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【森雅史の視点】2023年7月9日 J2リーグ第25節 FC町田ゼルビアvs東京ヴェルディ

J2リーグ第24節 東京V 1(0-1)2 長崎
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数4,050人
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試合の3日前に東京Vのバスケス・バイロンが町田に移籍するという出来事のために一層の盛り上がりを見せたこの対戦は、国立競技場に38,402人の大観衆を集めて開催された。前半立ち上がりの不安定な東京Vを町田が攻めて2点をリードするが、後半足が止まった町田を東京Vがサイド攻撃で切り崩し同点に追いつくという、国立競技場にふさわしい全力を振り絞った戦いになった。試合後ピッチに倒れ込む両チームの選手が続出したのも、この試合の激しさを物語っている。

この日ウイングバックとして出場した町田の平河悠は「疲れていたというようだったらプロではない。それはコンディションを整えられなかったことになる」と言い、エリキも「疲れは100パーセントない」と胸を張ったが、はたして言葉を額面どおりにとっていいのか疑問が残る。町田は大分と、東京Vは長崎との激闘から中2日で迎えたゲームということで、今季見た中でも特にダッシュは少なかった。せっかくの好カードだったので、もう少しいいコンディションで見たかったというのが本当のところだ。

東京Vの城福浩監督は水曜日の長崎戦の試合後、「最後はサイドから攻撃したかったがそれがうまくいかなかった」と反省の弁を述べていた。その教訓が生かされたのだろう。この日は右からのアーリークロス、左を崩してクロスという、長崎戦で出来なかった攻撃で2点を奪っている。先制すれば勝利が見える、堅守を誇る町田にとっては2点のリードを守れなかったという手痛いドローゲームになってしまったが、この教訓はきっと今後に生きるだろう。また東京Vは町田から2点を奪えたということでチームの進む方向がよりはっきりして、今後邁進することが出来るのではないか。そう思わせてくれた気温29.3℃ 、湿度 61%の選手の体力を激しく削るコンディションでの熱戦だった。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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