J論プレミアム

千葉の歴史が動いた(えのきどいちろう)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

千葉の歴史が動いた(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』九十四段目

 

 

■いつもと違う千葉県決勝

ワールドカップカタール大会が佳境を迎えていて、夜更かしが続く。11月下旬の開幕なんてどうなっちゃうんだろうと思っていたが、東京下町は「三の酉で軽く呑んだ後、ブラジルvsスイス」みたいな不思議な暦の感覚になっている。このままわーわーパブリックビューイング(今大会はカラオケ屋が小規模ビューイングに力を入れている)だか忘年会だかよくわからない感じに突入し、気がつくとクリスマスになっているのだろう。今回の僕のネタはカタール一色のサッカーファンからすると、いささか旧聞に属するというか、え、あれって11月だったの?、という感じじゃないかと思う。

が、11月、いちばんインパクトがあった試合について書きたい。高校サッカー選手権・千葉県予選決勝、市立船橋vs日体大柏(11月12日、フクアリ)だ。

実は千葉県予選のファンなのだった。毎年、ある意味で本チャンの選手権より楽しみにしている。といっても例年ならJリーグのカレンダーの真っ只中だ。僕の場合はアイスホッケーの日光アイスバックスの仕事もしているから晩秋の週末は絶対、身体が空かない。だから千葉テレビ録画だ。最近は動画配信で高校サッカーを見られるようになったが、僕は長いことチバテレのお世話になって、壮大な高校サッカー絵巻を楽しんできた。個人的には(アルビ好きなので)本間勲の母校、習志野も気になるのだ。

だけど、何といっても市立船橋と流通経済大柏だ。「市船vs流経柏」の名勝負。何と9年連続、同一カードの決勝戦だった。ある年は片方が冬の選手権王者、もう片方が夏のインターハイ王者だった。千葉県の高校サッカー関係者はそれが(大袈裟でなく)事実上の全国レベルの決勝だという自負を持ってきたと思う。毎年、見応えがあった。チームカラーも青と赤、高校サッカー界のミラノダービーの様相だ。

※僕はそもそもチバテレのスポーツ中継をめっちゃ大事にしている。毎春の「ちばぎんカップ」はゼロックス改めフジフィルム・スーパーカップより楽しみだし、ロッテ戦中継や高校野球予選もよく見る。先日、千葉ジェッツのイベントに初参加して、これからはBリーグ中継も見ようと考えている。冬の高校サッカー選手権(の準決勝、決勝)なんて日テレでも同じ試合やってるのにチバテレでわざわざ見て、「だけじゃないテイジン」長く引っ張りすぎだなぁと毎年言ってる。

で、話の流れで想像がついたと思うのだけど、今年はJリーグ日程が前倒しになったおかげで、初めて千葉県決勝をフクアリに見に行くことができたのだ。千葉市在住の友人から誘われても、ずっと予定が入ってるからと断ってきた決勝戦。夜中、海外サッカーみたいにチバテレ録画で楽しんできた決勝戦。シーズン前、J2日程が10月23日の終わると聞いて呆然としたものだけど、こんな特典が用意されていたとは。

しかも、驚いたことに決勝のカードが例年と違うのだった。流経柏が中央学院に敗れていた。その中央学院も日体大柏に敗れ、第104回大会・千葉予選は嵐の様相だ。決勝カードは「市船vs日体大柏」。まぁ、黄金カードの「vs流経柏」戦が生で見てみたいという気持ちもあったが、それより何より千葉の歴史が動くところが見たい。知人のレイソルサポから日体大柏の噂は聞いていて、大変関心があった。

 

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