J論プレミアム

グルージャめっちゃ気に入って盛岡から帰ってきた(えのきどいちろう)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

グルージャめっちゃ気に入って盛岡から帰ってきた(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]八十八段目

 

 

■盛岡の運営さんもびっくりの動員力

今シーズン、いちばん楽しみにしていたアウェーだ。8月の終わり、盛岡へ行ってきた。J2第33節「岩手vs新潟」初めてのいわぎんスタジアム。もちろんJ2戦線はいよいよ最後の直線だ。アルビレックス新潟はトップ2をキープして、残り10戦である。みんな行きたい。チケットも宿も争奪戦になった。
いわてグルージャ盛岡の運営は、その爆発的な売れ行きに急きょアウェー応援席を増設したほどだ。1000人超のアルビサポがはるばるいわぎんスタジアムへやって来た。あいにくの小雨模様だったが、カッパを着込んで意気軒昂、集中力が最後まで落ちなかった。サッカーの内容も引き締まった好ゲームだ。前半を0‐0で防ぎ切り、ガマン比べに持ち込んだグルージャの健闘が光る。

試合はアルビGK小島亨介がPKを止め、ほぼ次のプレーで伊藤涼太郎が決めてみせた。GKからの縦パスを受け、決定機を演出したのは古巣グルージャとの一戦に燃える谷口海斗だった。このわずか数分の明と暗。試合は事実上、ここで勝負あったのかもしれない。もし、小島がPKを止めてなかったらぜんぜん流れは違っていただろう。グルージャは先制し、アルビの逆襲ゴールは生まれていない。

終わってみれば(スコア以上の)アルビの圧勝だった。まぁ、さすがに力の差はある。暫定3位の仙台が敗れたため、自動昇格枠の2チームは横浜FC、新潟にしぼられてきた。

といったところが通常のサッカーコラムで扱う岩手‐新潟戦のアウトラインだと思う。

僕はぜんぜん別のことが書きたいのだ。そんなアウトラインじゃ僕があの晩、感じたことの半分も語れない。それはひとことで言うなら「いわてグルージャ盛岡ありがとう」だ。僕は今回、グルージャといわぎんスタジアムにものすごく好感を持って帰ってきた。

 

■試合後のある風景を見て、目頭が熱くなった

行く前は正直、色々と不安もあった。グルージャはJ3からの昇格チームだ。以前、鹿児島と当たった年もそうだったが、大勢のアルビサポをさばききれるだろうかと思った。ただでさえ動員力があるのに、今はみんな昇格を前に気が張っている。応援席を急きょ増設したのも(親切心からだとわかるのだが)早々とメインスタンド席を購入したサポから不満が出ていた。メインではアルビグッズやオレンジ色のものは身に着けられない。最初から応援席を増やして売り出してくれたら、そっちを買ったのにというわけだ。

僕個人も試合前日まで取材申請の許諾がもらえず、不安でいっぱいだった。もし、申請が通らなかったらチケットを買って見るのかDAZNで見るのか。こんな(「一次承認済」のまま)試合前日を迎えるケースってあるのだろうか。当連載の友、海江田哲朗さんに相談した。それからアルビ広報の國井拓也さんに相談した。グルージャ広報氏に問い合わせメールを出したりして、許諾メールが返ってきたのは夕方くらいだ。宿をキャンセルしないでよかった。もしかしたらグルージャは人が少なくていっぱいいっぱいなのかもしれない。

が、実際に行ってみたらそんなモヤモヤは消し飛んだ。

 

※この続きは「サッカーパック」に登録すると読むことができます。

(残り 1603文字/全文: 3298文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ