J論プレミアム

これぞサッカーど真ん中!三ツ沢決戦(えのきどいちろう)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

これぞサッカーど真ん中!三ツ沢決戦(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]八十四段目

 

 

■マージーサイドダービーよりも熱くなれる理由

ここ最近でいちばん興奮した試合はJ2第23節、「三ツ沢決戦」の横浜FC‐新潟戦だ。試合前の段階で新潟は勝ち点45の首位、横浜FCは43の2位。文字通り「首位攻防戦」だ。ちなみに前日、3位仙台(勝ち点41)が引き分けていたので、尚のこと勝って差をつけたいのだった。

新潟は第17節、ホームで横浜FCを3‐0で下してから6試合負けなし(5勝1分)、一方、横浜FCも前節仙台との上位対決(ユアテック)を制し、勢いづいている。横浜FCは6ポイントマッチが2節続いてきついところだが、ここが勝負どころとクラブを挙げて決戦ムードを盛り上げた。

「いざ、三ツ沢決戦!!」

キャッチコピーはシンプルにまとめた。この一戦のためにポスターや来場者に配るポストカードを作る。ゴール裏のビジター応援席はソッコーで完売、新潟サイドのメインスタンド指定席も売れている。日曜日のナイトゲーム。ニッパツ三ツ沢球技場は大入りが約束されたようなもんだ。

僕は前の晩、眠れなかった。いきなり暑くなって寝苦しかったわけじゃない。遠足の前日みたいに嬉しくて眠れないのだ。アルビレックス新潟はこのところ一戦ごとに力をつけている実感がある。ホームでは10連勝、関東アウェーでなぜか結果が出てないけれど、今の充実度なら恥ずかしい戦いはしないだろう。

それよりサッカーが楽しみで眠れないのは久々だと思った。アルビがここ何年、昇格争いにからめないでいたこともある。が、コロナのせいが大きい気がした。コロナはサッカーの醍醐味をだいぶ減殺してしまった。以前のことを考えると2020年コロナ以降のサッカー生活は灰色の日々だ。遠征もホームゲームも足が遠のいた。僕の場合は東京在住だからデンカビッグスワンのホームゲームが事実上、「遠征」だ。感染爆発の頃はなかなか気が引けて見に行けない。これはハズせないという大事な試合を見るのでもなるべく滞在時間を短くして、弾丸ツアー状態で帰京するようにした。なるべくサポーターの知人とも接触しない。新潟はいい店いっぱいあるのに寄らずに帰る。ちょっと落ち着いてからは温泉に泊まったりしたが、それも単独行動だった。あんまり面白くない。

取材もこのところやっと監督会見やミックスゾーンが復活したけれど、ずっとオンラインだった。DAZNで試合を見て、広報さんからもらったURLで自宅から会見に参加するシステムだ。スタジアムに行っても記者席で皆、PCを広げて、オンライン取材をしていた。だんだん常態化していって、海外取材も経費節減で同じ方式になった。まぁ、DAZNで見てZOOMとかでインタビューするなら、会場が味スタでもビッグスワンでも、アリアンツアレーナでも原理としては同じだ。コロナがおさまってからは円安がそれに輪をかけている。

僕がなぜ「三ツ沢決戦」に興奮して眠れなくなったかといえば、それがダイレクトな体験だからだ。これ、ものすごく大事。クラシコは素晴らしい。マージーサイドダービーも最高。それはそうなんだけど、現場でダイレクトに体感するJ2首位攻防戦のほうが熱くなる。やっぱりサッカーは五感総動員の全的体験だと思う。

 

■この体験があるからサッカー観戦はやめられない

そして、当日の三ツ沢は想像以上だったのだ。

 

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