推しは東北(えのきどいちろう)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
推しは東北(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]七十八段目
■J2サポーターがひと肌脱ぐタイミング
今シーズン、J2サポ共通の話題は「盛岡は絶対行きたいよね」だと思う。いわてグルージャ盛岡のJ2昇格で、遠征がてらぴょんぴょん舎の冷麺を食べたり、朝ドラ『あまちゃん』の北三陸鉄道に足を延ばしたりする楽しみができた。
これはスポーツ・ツーリズムといって、観光旅行の新しい形として注目されているところである。サッカーのサポーターが遠征で日本全国に(アジア諸国にも?)出かける。あるいはマラソンランナー、トライアスロン愛好家が魅力的な地方開催の大会にエントリーする。動く人も多いし、動くお金も大きい。いわゆる「経済効果」も相応なものになる。サッカークラブやサポーターはその「経済効果」を行政や地元企業に示し、チームやスポーツそのものの価値をアピールすることになる。
というわけで岩手県、盛岡市、それからスポンサー企業さんはグルージャがサッカーファンに大変注目されており、いわぎんスタジアムでキヅールと記念写真撮りたいと思われてることを認識していただけたらなぁと思う。今年のJ2トレンドは「東北ツアー」なのだ。
が、ここが大事なところ。せっかく春を迎えたのに東北新幹線は復旧していない。今回、当コラムが東北推しなのは、もちろん3月16日夜起きた福島県沖地震(最大震度6強)の影響を鑑みてのことだ。2011年の東日本大震災を想起させるような激震だった。被害は各地にあったが、いちばん影響が長期化しそうなのは(電力のひっ迫を別とすれば)東北新幹線の一部区間が不通になっていることだ。「まん防」が全国的に解除になり、観光地にやっと客足が戻るかと思われたタイミングだ。ここはサッカーファンがひと肌脱ぎたいじゃないか。
当コラムは東北を推す。東北ツアーは楽しい。旨い。人が親切だ。今こそサッカー好きはサッカーにかこつけて、東北を旅して、飲んで食べて、温泉にもつかって、「経済効果」ってやつを発揮するときじゃないか。お金が回らないと日本全体の景気だってよくならない。行こう東北。もらおう勝ち点3(お願いします)。
と、そのような趣旨なのである。
■「いい旅だった。もう来ない」と考える理由
今年は3月13日、J2第4節秋田‐新潟戦を見に行った。日付にご注目を。福島県沖地震の3日前だ。僕は延泊して14日に帰京したから、本当にタッチの差だった。14日は「東日本大震災から11年の3月」だなぁと思って、わざわざ福島の浜通りに寄って(震災資料を見せてもらったり、温泉を楽しんだりして)帰ってきた。だから震度6強は怖かったろうなぁと旅先で出会った人々のことを案じたのだ。
東北新幹線がしばらく復旧しないらしいと聞いて、(僕が担当している)アルビは今季のアウェー仙台戦&秋田戦が終わってるのが「不幸中の幸い」かなと思った。新幹線が使えるかどうかでサポの動きは大違いだ。アルビサポはアウェーに駆けつける人数も多いからなぁ。
だけど、よーく考えてみて、動員力のあるアルビサポがこれから動いたほうが(新幹線の止まっている)東北のお役に立ったんじゃないかと思い直したのだった。みんな意地でも見に行ったに違いないと思った。
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