J論プレミアム

湯麺戸塚にいく(海江田哲朗)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 


『湯麺戸塚 穂積店』。穂積駅から徒歩10分。

湯麺戸塚にいく(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]十三段目

 

名古屋から東海道本線に乗って、一路内陸へ。岐阜を通り過ぎてふたつ目の穂積で降りる。

今日こそはと心に決めた『湯麺戸塚』は、ここから徒歩10分の場所にあった。6月30日のJ2第20節、アウェーのFC岐阜戦にかこつけ、試合前に腹ごしらえをしようという寸法である。

読売クラブの全盛期を支え、元日本代表でもある戸塚哲也さんが『湯麺戸塚』をオープンしたのは2017年6月。翌年の4月には、各務原に2号店を開いている。2006年、戸塚さんは当時地域リーグに属すFC岐阜の監督に就任し、この土地と縁を持った。世間的には『Suchmos』のギタリストであるTAIKING、その父のほうが有名かもしれない。

穂積駅前の住宅地を抜けて、大通りに出る。事前に在店を問い合わせてもよかったが、自分にしかるべき運があれば会えるだろうと思った。いなけりゃいないで、湯麺を食べてスタジアムに向かうだけのことだ。

店に到着し、厨房の奥をのぞく。いた、戸塚さんだ。ドアを開けて名乗り、「ヴェルディではお世話になりました」と挨拶して席に着く。タオルを頭に巻く戸塚さんは、ああ、どうもってな具合だ。昼どきで、店は混んでいた。

注文したのは、塩味の湯麺(800円)。ほかに醤油と味噌がある。戸塚さんは野菜を勢いよく鍋に投入し、ジャージャー炒め始めた。

僕の知る戸塚さんは、でたらめにサッカーの巧いおっさんである。1993年のJリーグ開幕時はキャリアの晩年にあたり、その現役時代をほとんど記憶に留めていない。2001年、東京ヴェルディの取材を始め、以降、さまざまな人から話を聞き、どれほど優れたアタッカーだったか、業師だったかを知ることになる。

 

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