【横澤直樹のフットサル小噺 番外編】ある少年の挑戦と、共に前進
2023年3月5日(日)マグフットサルスタジアム
(レポート・横澤直樹)
約半年前に、神経系の病気により、右眼を失明した 13 歳の少年。
先日、左眼(視力 0.1)も、レーベル病を発症し、その影響により、1、2 週間後には、左眼も視力が低 くなる可能性が高く、彼の夢をかなえるために、試合を開催したいので、監督としてベンチにいてほ しいとの連絡を、ロービジョンフットサル日本代表強化指定選手の松本光平選手から受けました。
その少年は、右眼の視力を失ってから、知人の紹介を通して、松本光平選手の存在を知り、実 際にプレーを観たいと、F リーグを初観戦。 観戦後は、今シーズンのデウソン神戸のメンバーが、彼にとっての『憧れのスター』となり、大舞台 (有観客)にて、デウソン神戸の選手たちと、共にプレーをすることが、彼の夢となりました。
その少年の夢をかなえてあげたいと、松本光平選手が発起人となり、試合が計画されました。
病気の進行速度は速く、試合も急いで開催する必要があり、わたしが話を受けたのは、試合日の 2 日 前でしたが、松本光平選手を筆頭としたデウソン神戸の憧れの選手たちとの交流で、少しでも、力 になれたらと思い、全力でサポートするべく、参加を即答しました。
試合当日は、多くの方々の協力により、F リーグの試合のような雰囲気が漂い、その少年は、入場前から、とても緊張している様子でした。
その少年が入場すると、会場には大歓声が響き渡り、さらに緊張感が増す少年でしたが、試合が 始まると、堂々とプレーしていました。
デウソン神戸の選手たちも、F リーグの試合同様の強度でプレーするときがあり、ピッチ内は迫力がありました。
そのなかで、1得点目をその少年が決めたのです。
大事な場面で、実力を発揮するさまには、スター性を感じました。
しかも、その得点は、ゴレイロの肩口へのループシュートであり、プロでも使用するシュート法でし たので、とても驚きました。
その後も、松本光平選手同様に、普通に視えているかのようなプレーの連続で得点を重ね、見事、ハットトリックを達成して、会場を盛り上げていました。
ゴールシーンでは、対戦相手、味方、応援団、観客など、会場にいるすべての人が、その少年を たたえ、喜びをわかち合っていたのが印象的で、F リーグを観ているかのようでした。
試合終了後は、デウソン神戸の試合と同様に、ご来場くださったお客様に対して、手を振りながら、 会場を一周するスタイルで、感謝を伝えて、ピッチをあとにしました。
観客席には、多数の方々の泣いている姿があり、感動を共有できたすばらしい試合となりました。
〈試合結果〉
4対3
少年チームの勝利
得点者:少年 3 点( 3 アシスト松本光平選手)/サッカー系ユーチューバーtatsuya1 点
そして、試合終了後のロッカールームでは、その少年が夢へ向かって挑戦することを宣言し、全員 で前進していくことを共有しました。
横澤
『これから不安は沢山あると思いますが、そんなときは、我々を思い出してください。 いつも応援していますので、安心して、自分の夢に向かって、前進してください。我々も、フットサルを通して、夢・希望・勇気を与えられる存在になるために前進します。 同じ前進をするならば、共に前進してほしいのですが、いかがでしょうか?』
少年
『はい! 共に前進します!』
全員
『よおし! 前進しよう!』
その後のテレビのインタビューでは
『監督も言ってくれましたが、ボクは 1 人じゃないし、夢に向かって、前進したいと思います』と 泣きながら、その少年は答えていました。
我々も、この機会を通して、人と人とが助け合いながら生きていくすばらしさや、スポーツの力で幸 せの輪が大きくなっていくことなど、多くのことを学ばせていただきました。
その少年の目は、さらに視えにくくなっているそうですが、今回の試合をキッカケに、勇気をもらい、 感謝の気持ちとともに、改めて、夢に向かって前進する決意表明をしたそうです。
病と戦う現実は、つらいし、苦しいし、とても悲しいだろうと思います。
しかし、そんな中でも、気持ちが前向きになり、夢に向かって前進を決意し、勇気をもってくれたとのことで、少しでも、そのきっかけづくりの手伝いができていたならば、うれしいかぎりです。
フットサルというスポーツで、誰かの力になれるような社会貢献が、我々、F リーグに携わる者の本来の使命ですが、それと同時に我々も多くの方々に支えられ、力をいただきながら活動していま す。
これからもフットサルに精進し、社会貢献できるように、より邁進します。
【試合概要】
■日時
3 月 5 日(日曜日)/19:00 キックオフ
■場所
マグフットサルスタジアム
■試合形式
10分プレーイング(前後半) ※公式戦用のデウソン神戸のユニフォームを着用
■参加者
少年/デウソン神戸選手、監督、スタッフ/サッカー系ユーチューバーtatsuya
■協賛
株式会社レブセル
■後援
読売テレビ/毎日放送/サンテレビ/神戸新聞
■企画協力
JPEC(集客、設営、機材提供)
芦屋 Cheer Dance Labo(チアダンス)
ジェイペック鍼灸整骨院(審判)
柔之道鍼灸整骨院(審判)
大阪経済大学フットサル部(設営)
株式会社創縁舎(音響)
株式会会社 MDWORKS(横断幕提供)
WINGTH 嶋田賢史郎(MC)
吉本興業 下川 24 時(MC)
Tatsuya TUBE(プレーヤー)
緑の黒豹(カメラマン)
シュライカー大阪(サインボール提供)