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無料記事[山下コラム]「出てない選手の気持ちも込めて戦った」とフェニックス横浜の小山監督[神奈川県リーグ](2017/11/12)

フェニックス横浜を率いる小山優監督。チームは全勝優勝まであと2勝と迫っている。

 

SuperSports XEBIO 第20回神奈川県フットサルリーグ2017 第8節
フェニックス横浜 5-3 湘南フットサルクラブ
2017年9月23日(土) 神奈川県立体育センター

 

あと1勝でリーグ優勝が確定!

どのカテゴリーであれ、リーグ優勝を果たすのは並大抵のことではない。
僕が久々に取材にお邪魔した神奈川県リーグ第8節では、1位と2位の直接対決があり、1位のフェニックス横浜が勝利したことで2位の湘南フットサルクラブとの勝ち点差を「5」とし、この結果、第9節に続いて、12月9日(土)、横須賀市南体育館で行われる第10節に勝利すれば1試合を残してフェニックス横浜のリーグ優勝が決まる。
勝利を積み重ね、リーグ優勝にたどり着くには選手の能力もさることながら、監督の明確かつ有効な戦術のもとに、監督と選手が強い信頼関係で結ばれていることが絶対条件となる。では、フェニックスの場合はどうなのだろうか。気が早いのを承知のうえで、新たなリーグチャンピオンがどんな戦い方をしてきたのか。小山優監督のコメントはどのカテゴリーにも通じる普遍性を備えていた。
◎神奈川県リーグ http://kanagawa-futsal-fed.org/div1/div1.html

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

アグレッシブなプレッシングが売りのチーム

取材に臨んだ第8節を前にして1位と2位の勝ち点は以下のとおり。
フェニックス横浜 24
湘南フットサルクラブ 22
つまり2位が勝てば首位が入れ替わる状態だ。それだけに監督のスカウティングにも力が入るというもの。具体的には相手をどう分析して第8節に臨んだのか、そしてどんな試合になると予測したのだろうか。試合前にそこをまず確認した。

「相手はピヴォがひとり強力な選手がいるんですけど、チームとしてすごくパス回しがうまいので、まず、どっちかっていうとうちは、アグレッシブなプレッシングが売りなので。まあ、パスを回させながらも、プレッシングをかけていって相手に自由にさせないっていうのが一応ゲームプランではあります」

「攻撃パターンとしては、そうですね、基本、クアトロをベースとして、押し込んだときにピヴォ当てをやっていきます。あと、相手が4枚でプレスをかけてくるんだったら、高い位置で1対1をつくってピヴォ当てを仕掛けていくっていう形ですね。ですから状況判断をうまく入れながら対応していきます。相手の得意なパターンは3:1ですね、はい。で、あとはメンバーによってはクアトロでパス回ししながらというのが多いと思いますが、どちらにも対応していく自信はあります」

なるほど、クアトロを基本としながら攻撃を展開し、一方で、相手のパターンに合わせて対応していく。柔軟で懐の深さがチームのストロングポイントといったところか。また、チームにはリーグの得点ランキング10位までに4人が名を連ねている
2位 高柳一輝 8得点
6位 日永田祐作 6得点
10位 内田康太 5得点
   野崎優 5得点
彼らを中心とする攻撃力も自慢のひとつだ。

「気を引き締めてまた来週から練習に励みます」

1-0 00分55秒 フェニックス横浜 11 高柳一輝
1-1 02分07秒 湘南フットサルクラブ 12 大王拓也
2-1 14分31秒 フェニックス横浜 19 日永田祐作
3-1 16分24秒 フェニックス横浜 19 日永田祐作
4-1 20分32秒 フェニックス横浜 11 高柳一輝
5-1 21分22秒 フェニックス横浜 14 野崎優
5-2 25分22秒 湘南フットサルクラブ オウンゴール
5-3 28分03秒 湘南フットサルクラブ 9 遠藤広大 

かくして、優勝決定戦ともいうべき大一番は上記の得点経過のとおり、フェニックスが勝利し、リーグ優勝にグッと近づく結果となった。試合後の心境を小山監督はこう語っている。

「いや、もう、ホッとしてるというひと言ですかね、はい」

この勝利でリーグ優勝にグッと近づいたのではないのか、との問いには、「そうですね、それは間違いないと思います」としながらも、こう続けた。
「まだ、
第9節 FCまんほーる
第10節 YSCCフットサル
第11節 アルジェマ
と3戦が残ってます。手ごわい相手ばかりなので、そこで3連敗したら今日の勝利が全く意味のないものになってしまうので、気を引き締めてまた来週から練習に励みます」と語った。あと1勝と迫ったこの時期だけに気の緩みを一番の“難敵”としているのだろう。

「アグレッシブに!」

ところで小山監督は、試合前もハーフタイムでも、選手に向かって「アグレッシブに!」と盛んにいっていた。試合ではその指示を選手ひとりひとりが体現していたし、そこが今日の試合の一番のポイントと感じられた。それに対して小山監督は、「うちの選手は基本的にアグレッシブにやるのが好きな選手がそろってるので」とし、こう言葉をつないだ。

「アグレッシブにいくというのが、チームスタイルでもあるので。守りに入るんじゃなくて、そこはもうしっかりやっていこうっていうのは意識しました。ただ、リスク管理だけはしっかりやっていこうという感じです」

「相手はパス回しがうまいチーム」と試合前にいっていたが、でも試合を振り返ってみるとその相手のパスを随所で寸断していた。「基本的にはアプローチをかけてパスを回させない、リズムをつくらせないっていうのは、アグレッシブに行くことで消えると思ってたので。そのよさを消すためのプレッシングでしたね、はい」。いいところでインターセプトがはまってもいた。「はい。選手はそこを本当によく狙って次を予測しながらプレーしてたのがその結果につながったのかなとは思います」。

その、アグレッシブにという点に象徴されるように今日の試合、気持ちの強さが技術や戦術以上に大切というのを感じた。

「そうですね、やっぱり気持ちがないとこのリーグを勝ち抜いていけないと思います。もちろん、気持ちはあっても出れない選手もいる中で、やっぱり選手たちは出てる中で、出てない選手の気持ちも込めてしっかり戦ったかなとは思います」

「出てない選手の気持ちも込めてしっかり戦った」。いい言葉だ。そうでなければベンチからあれだけ気持ちのこもった声援は出てこない。ピッチとベンチが一体だからこその勝利ということだろう。これは冒頭にも書いたが、どのカテゴリーにも共通するフットサルの最も大事な点、といっていい。

[取材後記]
さてさて、また先走るが、フェニックスがリーグ優勝し、関東リーグ2部参入戦にも勝つと、来シーズンは1年早く神奈川県リーグから昇格したバディランツァーレと同じ舞台で戦うことになる。そこで楽しみなのが、バディランァーレとのプレースタイルの違いだ。このチームはある意味、失点を恐れず攻撃にリスクをかけまくるチームだ。一方でフェニックスは、「リスク管理だけはしっかりと」と監督のコメントにもあったように攻めるばかりではない手堅さも兼ね備える。バディランツァーレは2試合を残した現時点で4位と昇格初年度とは思えない結果を出しているが、同カテゴリーで展開されるだろう神奈川ダービーはどんな試合になるのか。早く見たい!

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