デジタルピヴォ! プラス

[Fリーグ第15節 鈴村復帰戦photoレポート]「10年撮ってもまだまだ飽きさせない魅力がこの男にはある」カメラマン勝又(2013/9/26)

photo1 鈴村拓也という選手を撮り始めて10年が過ぎた。まだ取材する人間も少なかったからか、遠く離れた海外で行われているアジア選手権に毎回出没する奇特なカメラマンを気遣ってくれる選手も多かった。特に鈴村とは何故かよく話をするようになり、彼の人柄と熱いプレースタイルにひかれ、何度もいろんな所に鈴村の試合を撮りに行くようになった。

 

彼が弱音を吐いたことは一度も聞いたことがなかった。たまに愚痴をいうことがあっても、最後は「絶対にあきらめない」というのが常の人であった。
そんな彼からガンを告白するという数日前に電話があった。
「かっちゃん、写真撮りにきてくれないかな。しばらく試合出られないと思うから・・・。」
その声は今までに聞いたことのないほど力ない声であったのを覚えている。
仕事が入っていたため、やむなく断りの電話を入れると「絶対に復活するから、そしたら撮りにきてよ」といつもの鈴村の負けん気の強さが見られたが、相手は病気である。
数々の困難を乗り越えてきた不屈の精神の持ち主であるのは知っていた、だが・・・・。
闘病の様子を彼のブログで読むにつれ、なんであのときに無理してでも撮影にいかなかったのかと何度も自分の選択を悔やんだ。もう二度と鈴村を撮れないかもしれない、そう思い悩む日が続いた。

 

写真・文◆勝又寛晃

 

photo2 彼がスペインリーグに挑戦したときも取材をさせてもらった。まだスペインリーグがキックインではなく、スローインルールだったころである。海外挑戦も順風満帆ではなかった。
それでも最後にはフットサルの本場であるスペインでキャプテンマークを巻くほどに、信頼を勝ち取っていったのである。

 

photo3 しかし、有言実行の男は約束どおり帰ってきてくれた。たった9か月、ガンと戦ったにも関わらず1年もかからず、神戸グリーンアリーナに鈴村拓也は帰ってきたのだ。
愛娘とともにサポーターの祝福の中、いつものとおり戦いに行く前の険しい表情で鈴村拓也が帰ってきたのだ。

 

(残り 1729文字/全文: 2567文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ