【無料記事】バディフットサルクラブフィオーレはどんな想いを持って日本女子フットサルリーグ参入申請したのか
現在関西女子フットサルリーグに所属している奈良県のバディフットサルクラブフィオーレがSNSで日本女子フットサルリーグ参入申請を行った旨の投稿がありました。
【ご報告】
この度、バディフットサルクラブ フィオーレは、一般社団法人日本フットサルトップリーグに対し、25-26シーズンからの日本女子フットサルリーグへの新規参入を申請致しましたので、ご報告致します。
参入の可否は12月下旬頃決定の予定です!
詳細はこちらhttps://t.co/p2JQ7MbbrY pic.twitter.com/qnf2cHcgty
— バディフットサルクラブ【チーム】 (@BuddyFutsalClub) October 3, 2024
ここ数年バディフットサルクラブフィオーレは関西女子フットサルリーグだけでなく、全国大会でも存在感を示していました。
<2022年度>
関西女子フットサルリーグ2022優勝
第10回地域女子フットサルチャンピオンズリーグ準優勝
第19回全日本女子フットサル選手権関西大会上位2チームに入り全国大会出場決定
第19回全日本女子フットサル選手権ベスト16(※1回戦で日本女子フットサルリーグ立川アスレティックFCレディースに勝利)
<2023年度>
関西女子フットサルリーグ2023準優勝
第20回全日本女子フットサル選手権関西大会準優勝
更には第15回のトリムカップではバディの選手が中心となった奈良県選抜が優勝するという結果も残していました。そしてバディフットサルクラブフィオーレから日本女子フットサルリーグへ個人昇格する選手も出てきている中、今回の日本女子フットサルリーグへの参入申請のニュース。早速チームの岡田充代表に連絡を取り、話を聞いてみました。
-まずは今回日本女子フットサルリーグへ参入申請したということですけれども、実際にはいつ頃から日本リーグの参入に関しては考えていらっしゃったのでしょうか
最初に意識したのは、2023年3月に浜松アリーナで開催された全日本女子フットサル選手権で立川アスレティックFCレディースに勝利できた時からです。自分自身は、現地に見に行けなかったのですが、引いて守りに入った試合ではなく、攻撃的に点を取り合った試合で、自分たちが先制して、立川が追いついたという展開でした。当時立川は日本女子フットサルリーグ3位という成績でしたし、選手権とはいえ渡り合えたので、やっていけるのではないかと考えました。シーズンが終わって、半数程の選手が移籍や引退をしたのですが、次のシーズンが始まる時に残ってくれた選手たちには、「最短で2年後の2025年度からの日本女子フットサルリーグ参入を目指します。」と伝えました。2023年度は7人で戦ったシーズンであり、なんとか関西リーグは戦うことができました。さらにバディの選手が中心となった奈良県選抜がトリムカップで優勝し、女子Fリーグのチームや選手が出場しない大会では、ある程度やり切った感がありました。2024年度も選手の女子Fリーグのチームへの移籍なども相次ぎ、残ってくれたメンバーは2人となり、女子Fリーグのようなトップリーグに参入し、目標となり奈良県出身の選手の受け皿となるチームにならないと、選手は只々移籍していくだけになるのではないかと危機感を感じました。選手は出て行くだけで、移籍で入ってはこない、また県内に居る競技志向の女子選手ももはや枯渇している状況の中で、残ってくれた2人のトップリーグでプレーしたいという思いも叶えてあげたいし…。そういうところできっかけは立川戦でしたが、日増しに、年を追う毎にチーム存続が難しくなってくるのではないかという危機感も強くなってきました。トップリーグ参入が先か、チーム消滅が先かと。
現在奈良県のサッカー界自体が、男子も含めて選手流出県になっていて、出て行ったらもう帰ってこないという状況になっています。その為に、育成年代のチームを作って流出しないようにするというのは、うちのチームは今のところ難しいですが、トップリーグに参入することで、県外に行った選手のUターンで戻ってくる場所は作れるかなと思いました。そうすれば、奈良県のサッカー界にも貢献できるかなと。そういう意味でフットサルのトップリーグのチームを奈良に作ることができれば戻ってきてくれる選手もいるのではないかなと。本当にフットサルでもサッカーでも、県外で活躍する奈良県出身の女子の選手がいっぱいいるんです。現在の女子Fリーグにも関西リーグにもバディに在籍していた選手が結構います。またバディのスクールに在籍していた選手もいて、 多少手前味噌ではありますが、バディ出身の選手も一定数いると思うと、ちょっと悔しい思いはあります。
-昨年も考えていたというところがあるのでしょうか
考えていたのですが、具体的にならなかったというところですね。今年に入ってから6名の中小企業診断士さんに経営しているフットサル場のコンサルをしてもらう機会があって、 現状や課題、ビジョンなどをヒアリングしてもらったり、意見交換したりする中で、女子Fリーグ参入という目標は、喫緊で進めなくてはいけないことだとなりました。参入要件には成績の有効期間があって、その面で早く進めなくてはいけないと。もちろんフットサル場の運営のことも色々とサポートしていただいているのですけれども、そのまま継続して、参入プロジェクトチームみたいになりました。自分1人であれば、日々のいろんな業務に追われ、女子Fリーグ参入について計画が全然進まなかったものが、プロジェクトチームの皆さんがいることで、色々と後押ししてくださって一気に前に進み始めたという感じです。去年はそもそも募集がなく、以前のままの募集要項が載っていました。女子Fリーグの担当者の方に連絡をとった所、今年は募集をするということだったので、いろいろ具体的に動き出しました。本来はフットサル場のある生駒郡や生駒市の地域を拠点に考えていましたが、ホームアリーナとして考えていた体育館の利用について、折り合いがつかず、いろんな方に協力いただいたのですが、うまくいきませんでした。その後、その時協力してくださっていた生駒市の方々から橿原市をホームタウン・ホームアリーナにすることを提案・紹介してくれました。生駒地域にこだわらず、奈良県全域のチームとして胸を張って活動したらどうだと言っていただきました。橿原市の市長さんもサッカーをされている方という事で、つないでいただいたら非常に好意的な話をいただき、是非という話になりました。むしろ逆に「ホームタウンを橿原市にして本当にいいのか?」と聞かれたぐらいでした。それが今年の2月3月ぐらいの話でした。その後、話は順調に進みかけていたのですが、2024年度シーズン当初の選手の人数が前述の通り少なくなり、チーム存続というところで問題が出てきました。そのためチーム活動が安定するまで、具体的な話、スポンサー活動も控える事にしました。ただこれもいろんな縁があって、現在は11人になり、メンバーが増えることができたので、そこで再び話を進めるようになりました。
-現在のメンバーにバディのスクール出身という選手が多いのでしょうか
何人かいます。本当にいろんな偶然が重なったりもして、例えば、店仕舞いしている夜中に、卒業生が何年振りかにフットサル場に思い立って遊びに来てくれて、その時の立ち話から競技フットサルにチャレンジしてくれる事になったり、人のつながりがあって、メンバーが増えていきました。現在チームにはママさんプレーヤーもいるので、そういった「ママさんアスリート」も受け入れられるような環境も整えられたらいいなという想いもあります。
目的のひとつに奈良県のサッカー界は選手の流出県の為、戻って来られる受け皿となる場所を作るというのがありましたが、戻ってきてもらうためには仕事も必要かなと思ったので、デュアルキャリアを推進して行きたいとも考えています。行政としても様々な仕組みを検討しているようで、その動きに沿った形ができる可能性もあります。企業からも人材が欲しいという話があり、デュアルキャリアを望む選手がいたら、ぜひ紹介してくださいと言われる事も少なくありません。結婚してからでも競技を続けられたらいいよねという話もありました。子育てして、少し落ち着いたら競技復帰できるような環境を整えてあげるのも大事かなと思っています。そこもしっかり取り組みたいなと思っています。女性活躍社会の推進と実現は、2つ目の目的として置いています。
-そこはスポンサーや行政にも受けは良さそうですね。
そうですね。ちょうど来年2025年に橿原市で日本女性会議が開催されます。ポスターが完成して納品された日が橿原市長にお会いできた日だったのです。こういう所にも縁を感じています。あとは奈良県には歴史的な遺産や旧所、名跡等が多くある為、他の地域から来てフットサルを見るというだけでなく、スポーツツーリズムも推進していきたいという考えも持っています。そういった部分も橿原市が掲げているものと合致していました。
-本拠地としては橿原市にあるジェイテクトアリーナ(県立橿原公苑第一体育館)になるのでしょうか
2031年に国民スポーツ大会が奈良県で開催される事もあり、橿原市に新アリーナが建設される予定です。現在あるジェイテクトアリーナはいずれ取り壊しの予定で、新アリーナができるまでの空白期間は、オール奈良という事で、奈良県内の体育館を使用させていただく予定です。
-オール奈良良いですね。
他にも今、参入に向けた活動をしていく中で、いろいろな方々をつないでいただき、お会いする中で、リレーションの構築など、ビジネス的な視点も持つようになってきました。チーム運営にはお金も必要ですし、継続的な活動ができるように、新たな発想を持つ事ができるようになってきていると感じています。そういう意味でも、競技としてやるには 応援される強いチームを作っていかなくてはいけないと思っています。プロジェクトチームができてから、その話を聞いて私もプロジェクトチームに入れてくださいという方もいて、徐々に応援や協力者の輪が広がっている気がしています。本当に一人では何も前に進まなかったですけども、いろんな方に話をすると、本当に様々な事が繋がっていきますね。
-話は変わって、奈良県の女子フットボールの状況を教えて下さい。
女子サッカーチームは本当に少ないです。代表的なのはディアブロッソ高田FCソヒィーゾさんですかね。昨今ではいくつかクラブチームもなくなっています。高校、大学でも強豪校はないですね。その為、上手い選手はINACやセレッソ、JFAアカデミー堺へ行き、大阪の高校へ進学する選手も多いですね。 男子でも最近は奈良育英高校が、また強くなりましたけれども公立高校が選手権だったり、インターハイに出場したりする事もあります。結局男子も一緒でトップの選手は県外に出て行ってしまいます。奈良県で優勝して全国行っても、全国大会ではなかなか結果が残せないという状況です。高校選手権は女子も以前の地域代表から都道府県代表制になりました。奈良にとっては全国大会に出場する良い機会なのですが、全国では厳しい結果になるのではないかと思います。実際に今年の高校女子サッカー選手権の奈良県大会は出場3チームで、その内1つは合同チームです。突き抜けたチームはサッカーにはないですね。
-県のサッカー熱はどうですか 奈良クラブ もありますが
確かにJリーグに参入した事で、今までよりは盛り上がっている感じがします。ただ、Jクラブがある地域と比べれば、まだまだこれからなのかなと感じています。バディもいろんなところと連携して、盛り上げていくことができれば、奈良県のスポーツ界全体としても良い影響を及ぼしていくと思うので、いろんなことが回り始める事ができればうれしいですね。バディはフットサルだけをするチームになりたくないなと思っています。
また橿原市もすごくいいところで、橿原神宮はパワースポットとも言われていて、空気感が全然違いますよ。JFAのマークにも採用されている八咫烏にまつわる記述もありますし、スポーツツーリズムにも最適だと感じています。是非試合だけして見て終わるのではなくて、チームの皆さんも奈良を観光したり、楽しんだりしてもらいたいというふうに思っています。またホーム開催以外のアウェイの時にも何かイベントなどをやらせてもらえるのであれば、奈良の名産品を持って行ったり、奈良のアピールをしたりだとかできると良いですね。
もう1つ目的もあって、奈良の地力と魅力を発信していきたいです。奈良県出身の選手は本当に良い選手が多いですし、奈良県に所縁のある選手・スタッフ・パートナーが「オール奈良」として一体となって、「奈良にはこんだけの地力があるねんぞ!!」というところを全国に見せたいです。魅力の発信の部分では観光地であったり、特産品だったり、奈良の良いところを知ってもらう活動を合わせて行っていきたいなと。そういった活動を地道にやっていけば、おのずとファンも増え、地域も元気になるんじゃないかなと思っています。チームの活動としてフットサルだけやっていては、チームの継続生や存在意義にもある程度限界はあると思っていて、自分たち内輪だけが盛り上がっていても意味がありません。 もちろん選手も一生懸命プレーして良いプレーを見せるということも必要ですけれども、やっぱり応援される選手として、意識の高い選手も必要だなと思います。スポーツを応援するという点でも、他の地域に比べて、奈良県はまだまだ文化が経験としても少ないかなと思っているんで、新鮮さもあると思います。
-実際に参入の見込みとしてどんな感触ですか?
全く分かりません。もし難しければお金か、体育館 かなと思っています。手前味噌ですが、いろんな方々が関わってくれたこともあって、僕の思いやビジョンに更に知恵やアイデアが加わって、事業計画は結構よくできていると思うので、そこは自信持っています。あとは体育館、スポンサーですね。この後 ヒアリングだったり、視察もあったりすると思うので、そこでしっかりとアピールをしていきたいと思います。