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【コラム】フットサルは持続可能ですか?〜SDGs視点で見たフットサルという競技

”SDGs”という言葉は耳にした事がある方は多いのではないでしょうか。読み方は「エス・ディー・ジーズ」SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。少し説明してみますと、このSDGsは2015年の国連サミットで採択されたもので、国連加盟国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標と169のターゲットで構成されています。街角やネットでも17の目標の四角いマークを見た事がある方もいらっしゃると思います。詳しく見て見るといろいろな目標やターゲットがありますが、メディアでよく聞かれているのは「環境にやさしい」や「平等」というイメージが強くあります。

まずは「環境にやさしい」という部分では冒頭の写真を見て見ましょう。これはとある地域リーグ終了後の撤収時の写真です。大きなビニール袋が点々と置かれています。この袋の中には主に剝がされたラインテープが入っています。写真にもありますが、体育館には様々な色のテープが恒久的に塗装されています。バスケットボールやバレーボール、バトミントンなどが多いようですが、フットサルのラインが塗装されている事は稀です。最近だと体育館改修の際にフットサルのラインが塗装されている所も出てきましたが、「色が白色でない」、「ライン幅が8cmでない」、「ペナルティラインの弧の描き方が違う」という事で、塗装の上から8cmの白色のラインテープで貼られているのが実情です。フットサルコートは20m×40mですから、外枠だけで120m。センターライン、センターサークル、ペナルティエリア、ベンチエリア、アップゾーン等を考慮すると1回の試合に200mくらいは使われているのではと考えられます。これが毎週全国で開催されていると考えるとかなりの量を使用している事になります。更にFリーグや日本女子フットサルリーグだと、体育館にもともと塗装されている様々な色のラインを”消しテープ”と言われる肌色のテープで見えないようにしています。これだと200mどころの話ではないのかもしれません。その費用は選手やチームの参加費用で負担しているのが実情です。

そこで下記の写真を見て見てください。

これは画像が粗いですが、2013年にスペインで開催されたFIFAが主催するワールドトーナメントの写真です。ちなみにアップしているのが、在原監督体制時のフットサル日本女子代表です。ピッチを確認してみると、コートには色が塗装されていて、白色や黄色のバスケットボールのライン、白色のハンドボールのラインの塗装が確認できています。更に画像からは分かり辛いですが、ラインの幅は塗装されている6cmのまま。これでもFIFA主催の国際大会が開催されました。もちろん大会の規模の大きさや格式などもあるのかもしれませんが、国際試合でも認められている状況です。ちなみにスペインリーグの試合を見ても、塗装ありのピッチ、ライン幅6cmはよく見かける光景です。

一方で1回の試合に毎回200m以上ものラインテープを使用し、消しテープで見にくいラインテープは隠す。しかし終わったらすぐに剥がしていしまい、ゴミを増やしてしまいます。確かに見栄えは良いと思いますし、興行的には華やかに見えますが、SDGsの観点から良い事かと言えば、決してそうではない事は誰もが理解できると思います。

その上でいまビジネスの世界では急速にSDGsの意識が高まっています。例えばですが、環境活動に積極的な株主を取締役にという流れが海外では出てきているようです。そして日本国内でも環境を害する可能性のある事業を推進しようとする会社に対して、その企業や融資する銀行に対して公開質問状を出すという事も起きています。それだけSDGsの目標の一つである「環境にやさしい」という部分には厳しい視点が向けられています。そんな世の中の流れが出ている中で、前述したような毎回ゴミ袋を大量に出してしまうフットサルをスポンサーしようとした場合に、株主や投資家が賛成しないとも限りません。

更に「ジェンダー平等」という点ではどうでしょう。

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