サッカーの羅針盤

公開記事【ジュビ論】未来のため!広島戦の2失点を検証:その時ジュビロに何が起きたのか(1失点目)危険なゲートを破られた理由

ジュビロ磐田はヤマハでサンフレッチェ広島に2−2で引き分けました。

前半途中、守護神の三浦龍輝が負傷で”アレックス”ことアレクセイ・コシェレフに代わるアクシデントがあり、難しい戦いの中で、少ないチャンスを鈴木雄斗が決めて先制しました。

そこから後半の立ち上がりに2失点。終盤に”ラッソ”ことファビアン・ゴンザレスの起死回生ゴールで追い付いて、なんとか引き分けました。

攻守トータルの強度は明らかに広島が上で、ジュビロはボランチのスタメンに抜擢された上原力也やバックラインが、ヤマハのサポーターに背中を押されるように体を張ったディフェンスで、何とか広島の圧に耐えていましたが、後半の立ち上がりに”決壊”してしまいました。

そこは相手に強度で押し込まれる展開の中で、アレックスやリカルドと周囲の連携不足も出てしまった感はありますが、失点の流れを整理して解説します。

【1失点目】

佐々木翔と松本昌也が競り合ったセカンドボール。広島は左サイドの満田誠がボールを持った状況で、ジュビロは鈴木雄斗が右前方に出ていた関係で、大井健太郎がワイドにスライドしてマッチアップします。

その時に広島はFWのジュニオール・サントスと満田の間を松本泰志がインナーラップして、満田からライン裏でボールを受けて、左足で折り返しました。

そこにシャドーの一人である森島司が合わせに来たところを3バック左のリカルドがカバーに行ったのですが、無理な態勢でクリアに行ったことでミスに。アレックスの反応の逆を取る形で、ゴールに吸い込まれてしまいました。

ここで問題になったのが遠藤保仁の対応です。ヤットさんのことを普段厳しくいうことはあまり無いですが、ここは厳しく指摘します。

満田がボールを持った時点で遠藤は大井をサポートすることと、松本泰志のケアと両方を同時にしないといけない難しい状態でした。しかしながら、リベロの伊藤槙人がジュニオール・サントスをチェックしなければならず、満田とジュニオール・サントスの間が最も危険な”ゲート”になることは間違いないシチュエーションです。

そこで松本泰志の方が遠藤より走力が高いので、遠藤としては少し引いてスペースを埋めてしまうべきでした。結局、松本泰志の方がスタートを切るのが早く、リアクションの遅れた遠藤は完全に追い越されてしまいました。

大井健太郎としても、うまく満田の斜めを切れていたらまた違っていたかもしれませんが、やはりカットインされるのが一番怖かったのでしょう。

遠藤が完全に破られたことで、伊藤は上原にジュニオール・サントスのチェックを受け渡して、満田に対応しに行きます。そこで生じた”ポケット”に森島が入ってくるのをリカルドが素早く気付いてクリアに来たのですが、ここで森島をうまく抑えて、むしろアレックスにグラウンダーのクロスを処理させる方法がベターだったと思います。

ただ、ここはリカルドの判断が絶対間違っていた訳ではなく、クリアに行くなら、ちゃんと枠外に出してねということだと思います。

このようにセカンドボールを相手に拾われたところからの対応は常に難しいのですが、特に広島は縦のスイッチが鋭いので、もっと全体の意識を合わせていくこと。そしてこのシーンはヤットさんにも責任はあるのですが、彼を起用することは一瞬の切り替えのリスクがセットで必ずあるので、周囲のカバーは常に想定しておく必要があると思います。

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