三菱重工浦和レッズレディース 冬の移籍で刺激し合って成長する WEリーグ後半戦とアジアを見据えなでしこリーグから新戦力
加入1年後に主軸となった後藤若葉選手、そして、新加入選手たちと楠瀬直木監督が語るポジション争い
2024−25 SOMPO WEリーグはウィンターブレイク中。各チームは3月からの再開を前に補強が進み陣容を変化させています。三菱重工浦和レッズレディースは、この記事が公開される2025年2月14日に仁川現代製鉄レッドエンジェルスとトレーニングマッチを行います。約1年前に女子ACLプレ大会『AFC Women’s Club Championship 2023 – Invitational Tournament (AWCCIT)』決勝を争った相手との腕試しです。
世界を目指し選手に求める基準を高める
皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会を制した三菱重工浦和レッズレディースはコーチングスタッフを強化しました。山田栄一郎さんがGKコーチに就任。山田コーチはトップチームのコーチとしてACL(AFCチャンピオンズリーグ)の優勝を経験しています。
楠瀬直木監督は「世界を目指す」と公言し続けてきました。工藤輝央スポーツダイレクターは「リーディングクラブとして」をキーワードに掲げます。そのため、選手に求める基準をさらに高めていきます。

2025三菱重工浦和レッズレディース新加入選手記者会見で勢揃いした新加入選手。これまで通りパンツの丈が短い着こなしの松尾美月選手(中央右)。髪の色を黒に戻したが今後の色は「模索中」とのこと
今回のWE Love 女子サッカーマガジンは、トレーニングと2025三菱重工浦和レッズレディース新加入選手記者会見を取材し、三菱重工浦和レッズレディースの新加入選手についてお伝えします。

レッズランドでのトレーニングは、いつも赤い熱気に満ちている
加入1年、後藤若葉選手の苦闘と成果
冬の補強は重要です。1年前の冬に加入した後藤若葉選手は皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会の優勝に大きく貢献しました。チームメイトと切磋琢磨し、自分のプレーを表現できるようになり、今シーズンはセンターバックとして出場機会を得てきてきました。
加入から1年間が経過し、自分の成長をどのように見積もっているのでしょうか。聞いてみました。
「あのPKを自分が蹴った?……記憶にないくらい試合に入り込んでいました。120分間の死闘は、これまでに経験したことがないしんどさだったけども、このチームメイトと一緒だから乗り切れたのだと思います。素晴らしいチームの一員として優勝できたことは自分自身にとって本当に大きいことです。」

目標に向け努力を続けてきた後藤若葉選手
前を向いてアピールを続けてきた
「(高橋)はなさんと(石川)璃音という憧れでありライバルであるすごく大きな壁に追い付き追い越せと思ってプレーしてきました。毎日、近くで一緒にプレーできることが自分にとって良いことだと思ってこのチームを選び(1年前に)加入しました。今シーズンは『このチームのためになるなら』と思ってサイドバックにもチャレンジさせてもらいました。また、センターバックに戻ったときにサイドバックをやっていたからこそ身についたものを感じました。」

実績のある同ポジションの選手と競い合って成長してきた
「試合に出て皇后杯を優勝する姿を自分では想像できていませんでした。 1年間、本当に頑張ってきてよかったなと思います。でも、だからといって、自分のプレーが『合格』かというと全然納得はできないです。まだまだこれから。ポジション争いは熾烈ですから。」

早稲田大学で実績を残してきた選手だが皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会の優勝は格別の経験となった
自分の個性をチームメイトに理解してもらうことが重要
「自分はメニーナでプレーさせてもらっていましたけれど、それほど綺麗にプレーするタイプではないです。気持ちでゴールを割らせない。最後の最後まで絶対に諦めない。練習から絶対に手を抜かないでやってきた。それが少しずつ積み上げになって『若葉ってこういうプレーヤーなのだな』と分かってもらえるようになった。上の人たちも優しく声をかけてくれたので、そこはありがたかったと思います。」

皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会の優勝は大きな自信になった Photo by Ke Twitter→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410
石川璃音選手の感じる「仲間が増える幸せ」
なでしこジャパン(日本女子代表)の一員として、再び世界一を目指して戦うことになった石川璃音選手も、後藤選手と同じように、仲間が自分の力を引き出してくれる感覚を持っています。
「日々一緒にトレーニングしてる仲間がいるから、今、自分が 得意なプレーをできていると思います。皇后杯決勝に、ニールセン監督が見に来てくましたが、仲間がいるから自分のプレーを出せたと思います。試合に出場していないメンバーも練習で一緒に取り組んでいます。レッズの代表としてなでしこジャパンに行きたいと思います。
新たに加入する選手は自分にはないものをたくさん持っています。『こういうプレーがあるんだ』と気づかせてもらえる。だから、仲間が増えることは幸せだな、と思います。」

新加入の選手たちと盛んにコミュニケーションをとる石川璃音選手
昇格4人を含む6人の新加入選手への期待
2025年2月7日に2025三菱重工浦和レッズレディース新加入選手記者会見が行われました。昇格4人を含む6人の新加入選手と楠瀬直木監督、工藤輝央スポーツダイレクターが登壇しました。すでに、2024−25 SOMPO WEリーグ前半戦で3得点している藤﨑智子選手は後半戦に7得点しシーズン10得点することを目標にしていると力強く語りました。飛び級の16歳でトップチーム昇格となった平川陽菜選手に質問が集中しました。

後列左から平川陽菜選手、藤﨑智子選手、前原嘉乃選手、秋本佳音選手、前列は櫻井まどか選手、松尾美月選手
楠瀬直木監督が語る、なでしこリーグから選手を獲得した意味
「おかげさまで皇后杯を優勝できました。島田(芽依)や高塚(映奈)、後藤(若葉)といった若い選手が頭角を現して、チーム全体で戦えたことが非常に大きかったと思います。」
楠瀬監督は、2024−25 SOMPO WEリーグの後半戦とAWCL(AFC女子チャンピオンズリーグ)を戦い抜くために、戦力アップが必要と考えます。なでしこリーグから2人の選手が加入しました。櫻井まどか選手はニッパツ横浜FCシーガルズで、松尾美月選手はオルカ鴨川FCでプレーしていた選手です。
「なでしこリーグにも上手な選手、たくましい選手はいます。タイミングの問題でWEリーグには来られなかった選手もいます。そうした選手たちにもまだまだチャンスがある。」

新加入選手に囲まれる楠瀬直木監督、後列左から平川陽菜選手、藤﨑智子選手、前原嘉乃選手、秋本佳音選手、前列は櫻井まどか選手、松尾美月選手
2人はどのような選手なのでしょうか。
トップでのプレーを得意とする松尾美月選手
松尾美月選手はピッチを広く使って動き、運動量とスピードで持ち味を発揮する選手です。
(残り 2329文字/全文: 5859文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ