大宮アルディージャVENTUSは新戦力で変わるのか? 齊藤夕眞選手「自分だけ『負け癖』や『負けることへの怖さ』を持っていない」
ウィンターブレイクのトレーニングで変化の兆しが見えてきた大宮アルディージャVENTUS
ウィンターブレイクの選手補強で、最も注目を集めているのは大宮アルディージャVENTUSでしょう。攻撃の出発点を作るため、大型フォワードの齊藤夕眞選手と西尾葉音選手を獲得しました。さらには髙橋美紀選手も加わりました。
WE Love 女子サッカーマガジンは2024−25 SOMPO WEリーグの前半戦で勝利なく悔しい折り返しとなった大宮アルディージャVENTUSを取材しました。シーズン初めに加入した箕輪千慧選手、ウィンターブレイクに加入した齊藤夕眞選手と西尾葉音選手、そして、主将の乗松瑠華選手に変化の兆しをお聞きしました。大宮アルディージャVENTUSは浮上するのでしょうか。

齊藤夕眞選手と競り合う仲田歩夢選手
迷わずチャンスを掴みに動いた西尾葉音選手の決意
2025年1月18日、まだ2024−25 SOMPO WEリーグの後半戦開始まで1ヶ月半もありますが、大宮アルディージャVENTUSは早くも紅白戦を行いました。2月末までにいくつものトレーニングマッチを予定しています。一際目を引いたのは西尾選手でした。身長170cmの恵まれた体格を活かし、グイグイと前にボールを運びます。パワフルなシュートも放ちます。
レッズ育ちが異例の期限付き移籍に踏み切った理由
西尾選手は浦和レッズレディースジュニアユースで育ったレッズ一筋。清家貴子選手の移籍により3トップの一角での飛躍が期待された今シーズンですが、リーグ戦の出場試合は6試合にとどまりました。この冬、大宮アルディージャVENTUSへの期限付き移籍を決断した21歳の選手です。

大きな声を出してトレーニングに取り組む西尾葉音選手
「最初はちょっと緊張したのですが、今は『刺激的な毎日』です。育成年代から、ずっとレッズでプレーしてきたので違うチームでトレーニングするのは初めてです。」
中央のポジションで構え、パスを受けると素早く前にボールを運びます。そのポテンシャルを誰もが認める選手です。少し強引なくらいのプレーでチームに活気を加えます。この強気を表現し続ければ、きっと試合でも力を発揮できることでしょう。
「サッカー選手である以上、試合に出て活躍するのが一番です。レッズでは、なかなか出場できず、いろいろな思いがあったのですが、期限付移籍のチャンスをいただくことができました。」
大宮では前のポジションでやりたい
三菱重工浦和レッズレディースの楠瀬直木監督は、なんとか西尾選手の能力をチームに活かしたいと考え、サイドや最終ラインのポジションでの起用も試みていました。西尾選手はどのようなプレーをしようと考えているのでしょうか。
「『大宮では前のポジションでやりたい』と監督に伝えました。大宮アルディージャVENTUSには得点力が求められていると思うので、自分が前に入ったことで前線が良い流れになって勝利に結びつけられるように考えていきたいです。」

長く在籍している選手のようにチームに馴染んでいる西尾葉音選手
同時期に加入した齊藤選手とは、フォワードでのプレースタイルに共通するところがあります。西尾選手は「良いところを盗んで一緒に戦力になっていきたい」と話します。素質を開花する春はやってくるのでしょうか。
「レッズでは出しきれなかった自分の存在価値を練習から出して、レッズで応援してくださった方、指導してくださった方にもそれを伝えたい。これまでの評価を見返すくらいの強い気持ちで取り組んでいきたいです。それが、大宮にも浦和にも恩返しとなると思います。」
スタメン奪取を目指し、闘志を燃やします。
移籍当初の目標は達成するも貪欲に次のステップへ進む箕輪千慧選手
今シーズンの開幕前にINAC神戸レオネッサから加入した箕輪選手は2024−25 SOMPO WEリーグの全11試合に出場し、すっかり大宮アルディージャVENTUSの主力選手となりました。

金平莉紗選手との1対1に勝って前進する箕輪千慧選手
明確なゴールチャンスを生み出したキーパスの数は12チームの全選手の1位です。出場時間が長くなるにつれて、ゲームの流れを掴んで適切なプレーを選択できるようになってきた実感があると言います。その充実感がありながらも、チームが勝てないもどかしさを強く感じるコメントとなりました。

開幕前は「試合に出続ける!」を目標としていた箕輪千慧選手
「試合に出続けるという目標に関しては、途中出場も含めて達成できていると思います。けれども、チームとして立てた目標に全く到達できていないです。」
新加入選手とコンビネーションを高めゴール前に迫るプレーを増やしたい
サイドのスペースに動いてパスを受け、前に運ぶプレーが光ります。ポケットへの侵入が箕輪選手の真骨頂。しかし、得点がありません。シュートまでの運び方とシュート練習を重点的に取り組む毎日です。
中央で強さを発揮できる齊藤選手と西尾選手が加わると、箕輪選手が本領を発揮するスペースが生まれやすくなるかもしれません。
「齊藤選手も西尾選手もボールをキープできる選手です。前線の中央にパスが入ったときに自分もパスの受け手として関わってゴール前に迫ることができるのではないかと思っています。前半戦以上に、攻守においてたくさん走ってプレーするので、そこを見てほしいです。」
ますます箕輪選手のプレーから目を離せなくなりそうです。

誰もが箕輪千慧選手の挑戦にワクワクする
脅威の得点率を勲章にトップリーグへ帰ってきた齊藤夕眞選手
WEリーグを応援するファン・サポーターは、あまり齊藤選手のことを知らないかもしれません。齊藤選手がWEリーグでプレーするのは初めてのことです。しかし、WEリーグが誕生する以前のなでしこリーグ1部で実績を残した選手です。浦和レッズレディース(現・三菱重工浦和レッズレディース)に所属していた2011年にはなでしこジャパン(日本女子代表)デビューも果たしています。特に華々しい活躍が印象に残っているのは2015年から2018年に所属したAC長野パルセイロ・レディースでのプレーです。

齊藤夕眞選手に加入は、この冬、最も注目される移籍に
4年間64試合85得点の実力になでしこジャパンも苦しむ
一度は引退しましたが、WEリーグ参入を目指して結成されたヴィアマテラス宮崎で現役復帰。そこから4年間に64試合85得点(リーグ戦のみ)という驚異のペースで得点を重ね、その名を女子サッカー関係者に轟かせました。昨シーズンは20得点を記録し、なでしこリーグ1部の最優秀選手賞を受賞しています。

2024プレナスなでしこリーグ表彰式での齊藤夕眞選手
ヴィアマテラス宮崎はなでしこジャパン(日本女子代表)のトレーニングマッチの相手に選ばれました。結果は3本トータルで0ー5というスコアですが、1本目はヴィアマテラス宮崎が一方的に押し込む展開が続きました。中央で何度も突破を試みる齊藤選手に、なでしこジャパン(日本女子代表)は手を焼きました。
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