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王者・三菱重工浦和レッズレディース 中2日のコンディションに苦しむも勝利 WEリーグ首位に勝ち点差1の3位で折り返す(無料記事)

角田楓佳選手、島田芽依選手の得点で三菱重工浦和レッズレディースが逃げ切る 

2024年12月11日、三菱重工浦和レッズレディースは浦和駒場スタジアムにセレッソ大阪ヤンマーレディースを迎えました。202425 SOMPO WEリーグ 第5節です。AWCL(AFC女子チャンピオンズリーグ)参加による変則日程で、この試合をもって三菱重工浦和レッズレディースとセレッソ大阪ヤンマーレディースの年内のリーグ戦全ての試合が終わります。ここまで消化試合が1つ少なかった三菱重工浦和レッズレディースは勝ち点差4で首位の日テレ・東京ヴェルディベレーザを追っていました。

得点した角田楓佳選手(右)と島田芽依選手(左) 写真提供:WEリーグ(TOPも)

202425 WEリーグ クラシエカップ敗退直後の大切な試合

平日18時キックオフ。本格的な冬の寒さを感じます。トラックに敷いた人工芝がめくり上がるくらい強い風が時折吹きます。三菱重工浦和レッズレディースにとっては202425 WEリーグ クラシエカップ準決勝から中2日。敗退のショックを振り払うかのように立ち上がりから積極的にシュートを放つ一戦となりました。

次のWEリーグへ 一つになるために新ビジョンが必要だった三菱重工浦和レッズレディース

「連敗をしないことが大事」立ち上がりからの攻勢で先制

気合い十分の立ち上がりでした。主将・柴田華絵選手は、試合後に、この試合の重要性を話してくれました。

「連敗はしたくないと、チームで話していました。中日だから、相手が手加減してくれ訳でもないのですし、しっかり入りから行こうと。

チャラにはならないですけど、連敗をしないことが大事だと思うので、あとは負けに慣れてないので、連敗すると崩れるか分かりませんが、今日は勝たなければいけない。どんなにきつくても勝ちにいく。どんな戦い方でも勝とうとプレーしました。」

テクニックでセレッソ大阪ヤンマーレディースを翻弄した柴田華絵選手 写真提供:WEリーグ

ただし、3日前の激闘は120分間。フル出場した塩越柚歩選手はコンディションが回復せずベンチ外。フル出場だった石川璃音選手は「ハーフタイムに、かなり辛い顔をしていた」と楠瀬直木監督が明かしました。しかし、浦和レッズとしてのプライドと、堅守でセレッソ大阪ヤンマーレディースの反撃を凌ぎ21で逃げ切ることができました。

貴重な先制点を決めた角田楓佳選手 写真提供:WEリーグ

「中2日で苦しい試合になると思っていたのですが、本当にチーム全員で走り切って戦って勝ち取った勝利だと思います。」

石川選手とセンターバックでコンビを組んだ後藤若葉選手は実力を発揮。強さと上手さを見せました。

クレバーなプレーを見せた後藤若葉選手 写真提供:WEリーグ

栗島朱里選手の攻守に渡る職人芸がセレッソ大阪ヤンマーレディースを苦しめる

今シーズンの栗島朱里選手は主に左サイドバックでプレーします。ここまで、今シーズンのリーグ戦は全試合でスタメン出場。いつ、どのポジションでプレーしても心技体が整う栗島選手ですが、この試合は、たった一つのプレーを悔やみました。

「失点のシーンは高塚(映奈)選手と自分の間のところでやられてしまったので、すごく責任を感じます。」

2点をリードした後のセットプレーからの失点でした。

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「でも、最終ラインで声を掛け合いながら、細かいところで声を掛け合い、相手のボールが一つ下がるごとにラインアップしてやってきました。流れの中で失点がなかったのは良かったです。」

202425 SOMPO WEリーグ折り返しの第11節を終え、失点数は5しかありません。高橋はな選手がセンターバックではなくフォワード起用されることが多くなり、最近は、栗島選手と石川選手の連携の素晴らしさが際立ちます。第2節のINAC神戸レオネッサ戦に敗れて以降、9試合負けなし。5試合が無失点です。

常に余す所なく実力を発揮する栗島朱里選手 写真提供:WEリーグ

そして、栗島選手を起点とした左サイドの攻撃はとてもスムーズにボールが動きます。

「(水谷)有希が怪我をしてしまいましました。私が、その役割をしなければいけなくなりました。有希が左サイドバックにいると、ビルドアップはノッキングせずにできていました。『有希はどのようにプレーしていたかな』と参考につつ、全く同じプレーはできないので、自分の良さを活かしながらプレーすることを意識しています。」

タッチライン際と、内側のレーンの使い分けが素晴らしく、今シーズンの新しい三菱重工浦和レッズレディース像が左サイドから生まれています。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、栗島選手のサイドの対応に手を焼きました。

三菱重工浦和レッズレディースは首位・日テレ・東京ヴェルディベレーザと勝ち点差1の3位で折り返すことになりました。2位・INAC神戸レオネッサとは勝ち点と得失点差が同じです。

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上手さを見せるもおとなしかったセレッソ大阪ヤンマーレディース

セレッソ大阪ヤンマーレディースから見ると、勢いに乗り切れない一戦となりました。前節に無敗のINAC神戸レオネッサに土をつけましたが、三菱重工浦和レッズレディース相手には今ひとつ攻撃の迫力が足りませんでした。コンディション調整に苦しんだ三菱重工浦和レッズレディースの動きが後半になって落ちると攻め込む機会は増えましたが、セットプレーからの1点にとどまりました。

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もっと勝負できるはずのチームだが

鳥居塚伸人監督は、冷静に試合を振り返りました。

「自信を持ってやろうと臨んだゲームだったのですが、怖がって入ってしまった部分が見えた。そこからの失点がありました。課題が残ったゲームです。2点目をとられた後、今までであれば、3点目、4点目をとられてしまうと思うのですが、なんとか凌いで1点を返すことができたので選手の成長を感じます。追いつくチャンスもありましたし勝てるチャンスもあったのに勝ち切ることができないのが今のチームの力です。」

セレッソ大阪ヤンマーレディースの順位は7位。昨シーズンの最終順位の9位よりも2つ順位を上げています。

米田博美選手の得点で1点を返したセレッソ大阪ヤンマーレディース 写真提供:WEリーグ

202425 SOMPO WEリーグはウィンターブレイクへ、そして、皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会に挑む

セレッソ大阪ヤンマーレディースは中3日で12月15日(日)に皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会の初戦を迎えます。対戦相手はマイナビ仙台レディースです。三菱重工浦和レッズレディースも同様です。同じく15日にAC長野パルセイロ・レディースと対戦します。202425 SOMPO WEリーグはウィンターブレイクに入りますが、厳しい日程で試合は続きます。

202425 SOMPO WEリーグ前半戦の残り試合は、荒天で延期となったサンフレッチェ広島レジーナVS大宮アルディージャVENTUS(第7節・12月18日開催)のみです。

(2024年12月11日 石井和裕)

 

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