滝川結女選手が気迫の2得点 浮上するアルビレックス新潟レディース ノジマステラ神奈川相模原が掴めなかった試合の風向き(無料記事)
折り返し地点のWEリーグ ノジマステラ神奈川相模原の浮上を阻むアルビレックス新潟レディースのゲームを読む力
2024年11月30日、2024−25 SOMPO WEリーグは第11節、つまり一巡目の最後の対戦が相模原ギオンスタジアムで行われました。ゴールポスト、クロスバーに跳ね返されるシュート、ゴールキーパーの好セーブが多く、見応えある攻防が多く生まれました。
風上を生かしきれなかったノジマステラ神奈川相模原
立ち上がりは、風上に立ったノジマステラ神奈川相模原が攻勢を仕掛け、サイドバックで起用された笹井優愛選手がゴールに迫りましたが、徐々にアルビレックス新潟レディースが押し返し一進一退。ノジマステラ神奈川相模原にとっては、前半のうちに1−0にしておきたい試合でした。
公式記録では天候は「弱風」と記されました。しかし、「弱風」であっても試合の風向きに影響がありました。ノジマステラ神奈川相模原は風下となった後半に2失点し、0−2で敗れました。ノジマステラ神奈川相模原は2024−25 SOMPO WEリーグの一巡目を1勝7敗3分の勝ち点6、11位で折り返します。昨シーズンの最終成績は勝ち点13。試合内容は明らかに向上していますが、獲得できた勝ち点は昨シーズンの半分ペースです。なかなか浮上できません。
チーム全体でプランが徹底されていたアルビレックス新潟レディースの前半。試合の風向きを変えた後半の攻勢
ハーフタイムの選手交代でより相手陣への押し込みを強め2得点
「後半に自分と(滝川)結女が入ってチームに何か変化を与えられると思っていました。後半の最初からゴールに対して畳み掛けられたのでチャンスはあると思っていました。」
ハーフタイムに交代出場した川村優理選手は、チームメイトを信頼し、後半からの出番を待っていました。有吉佐織選手は「チームとして、はっきりと個人の特徴を生かしてやれた」と振り返ります。前半は田中聖愛選手と児野楓香選手の縦への仕掛けが目立ち、後半は川村選手と滝川結女選手のテクニックで変化が生まれました。即時奪還からの人数をかけた仕掛けがが効果的で、再三に渡ってディフェンスラインを突破しました。
「前半を無失点で抑えてくれました。惜しい場面もいくつかあって、良い流れが作れていたので、後半は自分が入って、その良い流れを崩さずに、しっかりと点を決めることを意識して入りました。2ゴールできて良かったです。」
滝川選手が66分、80分に連続得点しエースの責任を果たしました。
ノジマステラ神奈川相模原対策の準備とピッチ上での実践がしっかりと噛み合う
川澄奈穂美選手によると「前半が風下の方が良い」という気持ちもあったようです。
「前半は『とにかく凌ごう』という感じでしっかりできました。後半になって風上を『自分たちの強みの追い風にしてやろう』という戦い方はできたと思います。」
攻撃陣の柱として奮闘が続く山本結菜選手も、語るゲームプランは同じ。チーム全体で意思統一を徹底した試合をできていたことが伝わってきます。
「前半は失点0で抑えようとチームで共有し後半からギアを上げていこうと話していました。それを実現できたのが良かったです。」
後半に存在する課題が、向かい風で強まるノジマステラ神奈川相模原
逆に、ノジマステラ神奈川相模原の立場から振り返ると、後半に失点を重ねて敗れてしまう試合展開となってしまいました。川島はるな選手による振り返りからは、後半が戦い方のポイントになるとチーム全体で意識づけできていただけに悔やんでも悔やみきれない落胆が伝わってきました。
「前半は風上ということもあって、少し自分たちの時間もありました。後半には、ここ数試合で失点している時間帯があるので『まず今日はそこを意識しよう』と試合に入りましたが、また同じ時間帯での失点だった。」
準備をしてきたが、アルビレックス新潟レディースの攻勢が強く歯車が噛み合わない
小笠原唯志監督は「完敗となった責任は私に多い」と話しました。後半に多い失点を見越して、この試合では先に選手交代で動くことを選手に伝えていました。アルビレックス新潟レディースのサイド攻撃を分析し、対応するサイドバックが前に出て食い止める、そして、ボランチが、その動きに連動して動く準備をしてきました。しかし、そのタイミングが合わず、スルスルとドリブル突破を許してしまうシーンが多く見られました。
60分に南里杏選手を投入し右サイドバックに起用。サイドバックだった浜田芽来選手のポジションを一つ前に出しました。
「前に起点を作って、そこから攻め込まれる回数をもう少し減らそうと思ったのですが、逆に選手を代えたことで、相手の攻撃がより速くなってしまった。」
「試合後のお菓子のお土産くらいしか男女のサッカーに違いはない」 WEリーグ アルビレックス新潟レディースを躍進させた「上限を定めないサッカー観」
2024−25 SOMPO WEリーグ前半を終え12月からカップ戦の季節に
この日の入場者数は666人。ノジマステラ神奈川相模原にとっては、前半互角の戦いを後半にどのようにつなげていくか、ゲームの進め方に課題が出た試合となってしまいました。ただし、笹井優愛選手が思い切りよく個性を発揮した点について、小笠原監督は高く評価しています。こうした選手の台頭は、皇后杯 JFA全日本女子サッカー選手権大会、そして、後半戦への明るい希望です。
秋春制WEリーグのウィンターブレイク短縮 2月再開案を選手・監督はどのように考えているのか 私たちは『WEリーグの基盤を作っている選手』という川澄奈穂美選手の考え
アルビレックス新潟レディースは良い状態でリーグ戦を折り返し、2024−25 WEリーグ クラシエカップ準決勝に向かうことができます。初タイトル奪取を狙います。
12月は両チーム共に、次の戦いに足を踏み込みます。
(2024年11月30日 石井和裕)