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WEリーグの「真っ赤な太陽」 高橋はな選手から広がる光と情熱 ノジマステラ神奈川相模原戦が転機となった三菱重工浦和レッズレディース

三連覇達成に必要な新しい力が湧いてきた三菱重工浦和レッズレディース

「引き分けは望んでいなかった。非常に悔しい思いが皆にあると思う。ちょっと言葉では難しいですが、ノジマ戦のときの方が何も手応えが掴めなかったと思っています。今日は本当に悔しいですが『チームとして強くなっていくために必要な引き分けだった』と振り返ることができるようにしたいと思います。」

2024年11月20日、アディショナルタイムにちふれASエルフェン埼玉に追いつかれ引き分けた後、高橋はな選手は、同じ11月に喫したノジマステラ神奈川相模原戦(第7節)の経験を踏まえて話しました。

今回は、高橋はな選手のフォワード起用から動き始めた三菱重工浦和レッズレディースの新たな力とスタメン争いについてお伝えします。

高橋はな選手

ゴールに向かう矢印を太くしたフォワードとしてのプレー

思えば、11月3日に行われたノジマステラ神奈川相模原戦後の監督会見では、楠瀬直木監督から、三菱重工浦和レッズレディースの現状について厳しい表現がいくつもありました。

「強い強いと言われていても、それは過去の実績で評価してくれるわけで、今のメンバーで果たして強いかと言われると今日の結果が表していると思います。」

「自覚を持ち、今の力がこのくらいだということで、日々努力していかないといけません。」

「ウチは最後の最後、パワープレーでしか点がとれませんでした。」

楠瀬直木監督

「何も手応えが掴めなかった」ノジマステラ神奈川相模原戦の後に得た気づき

ノジマステラ神奈川相模原戦は高橋選手の得点(88分)で辛くも引き分けた苦しい試合展開でした。高橋選手と楠瀬監督の言葉どおり「何も手応えが掴めなかった」試合だったのかもしれません。このままのやり方ですんなりと三連覇できるわけではないと気付く転機となりました。

1週間後の11月9日に行われた第8節は上り調子のサンフレッチェ広島レジーナが対戦相手。楠瀬監督は高橋選手をフォワードでスタメン起用しました。すると、チーム全体にアグレッシブな姿勢が甦り21で勝利することができました。さらに翌週の大宮アルディージャVENTUS戦もフォワード・高橋選手の活躍で40の圧勝。中2日で迎えたちふれASエルフェン埼玉は高橋選手の先制点で11と引き分け。三菱重工浦和レッズレディースには、昨シーズンとは一味違う強さが芽生えてきました。

高橋はな選手のフォワード起用で、やるべきことの優先順位が変わる

楠瀬監督は勝利するための手段を少しばかり変えました。大宮アルディージャVENTUS戦後、高橋選手のフォワード起用の効果について、このように話しました。 

「あれは高橋はなのキャラがそのようにさせています。戦術・高橋となってしまっているので、粗い部分も確かにありますけれど見応えもあります。相手は嫌だなと思うでしょう。後半はセンターバックに下げましたが、その勢いを島田(芽依選手)や後半に出た前原(嘉乃選手)も、自分らしさで継承してくれれば良いと思っています。高橋は(ディフェンダーなのかフォワードなのか)どっちが本職か分からないくらいです。周りも彼女の良さを生かそうとしてくれています。今は良いですけれど、すぐに、また対策をされるので、次のことも考えないといけないのですが、非常に良くやってくれていると思います。」

綺麗につなぐだけではなく、早めに縦パスを高橋選手に差し込むプレーが増え、チーム全体の推進力が強くなりました。ロングボールも交えるようになりました。期待に応える高橋選手が素晴らしいことはもちろんですが、楠瀬監督の決断力が際立つ試合となりました。

前原嘉乃選手

同性から絶大な人気がある高橋はな選手

三菱重工浦和レッズレディースに新たな活力を注入した高橋選手ですが、個人成績で見ると3試合で奪った得点は1。フォワードとして、決して爆発的な得点量産をしたわけではありません。では、どのような存在なのでしょうか。

筆者は、以前に、ある場所で三菱重工浦和レッズレディースの選手数人が他のチームの試合を観戦しているところを目撃したことがあります。試合後に、小中学生の女の子たちが写真撮影とサインを希望していました。そのとき、最もたくさんの女の子と一緒に写真撮影をしていたのが高橋はな選手でした。その人気は絶大でした。サッカーをプレーする女の子にとって、高橋選手は憧れの存在であり尊敬の対象です。気持ちの高揚を伝播させる力がある選手です。

「どうしても勝ちたい」強い意志が伝わったちふれASエルフェン埼玉戦のリスタート 

例えば、失点シーンで印象に残る出来事がありました。ちふれASエルフェン埼玉戦で、三菱重工浦和レッズレディースは90分+1に同点ゴールを喫しました。そのとき、誰よりも早くプレー再開を促したのが高橋選手でした。

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