めらめら燃えるWEリーグ・パワー対決 高橋はな選手VS大沼歩加選手 三菱重工浦和レッズレディースが勝ち点を落とす瀬戸口梢選手の迫力弾(無料記事)
雨中決戦は痛み分け。三菱重工浦和レッズレディース、ちふれASエルフェン埼玉、双方に笑顔あり悔しさあり
2024−25 SOMPO WEリーグ 第4節は三菱重工浦和レッズレディースがAWCL(AFC女子チャンピオンズリーグ)出場のため未消化だった1試合を2024年11月20日に開催しました。三菱重工浦和レッズレディースが1点リードして迎えたアディショナルタイムにちふれASエルフェン埼玉が追いつき、1−1の引き分けに終わりました。
平日18時キックオフでも熱心なファン・サポーターが浦和駒場スタジアムに集まった
三菱重工浦和レッズレディースは中2日の試合ということもあり、疲れの見えた石川璃音選手をスタメンから外した4バックの布陣。気温8.6度。断続的に雨の降るあいにくの悪天候で、さすがの三菱重工浦和レッズレディースのファン・サポーターも屋根のあるスタンド上段から埋まりました。
ちふれASエルフェン埼玉のサポーターは出島(ビジタースタンド)のみでの応援となるため、ホームゲームのハリセン中心の手法ではなく声を中心にした応援に切り替え。埼玉県勢同士の戦いに熱を加えました。入場者数は1千340人でした。
アンカーポジションで大きな存在感を見せた瀬戸口梢選手(EL埼玉)
試合後、角田楓佳選手(三菱重工浦和レッズレディース)に何がやりにくかったのかを聞きました。
「アンカーっぽいポジションの人に、ちょっとこぼれたやつを拾われる……。」
ちふれASエルフェン埼玉は、これまでの3バックではなく4バックで挑みました。三菱重工浦和レッズレディースの高橋はな選手、塩越柚歩選手の縦関係のところを、センターバック2枚とアンカーの合計3枚でケアする準備をしてきました。最終ラインの前のアンカーポジションで攻守に活躍したのが瀬戸口梢選手でした。
十八番のミドルシュートで引き分けに持ち込む
アディショナルタイムの同点劇は瀬戸口選手の右足から放たれたスーパーゴールでした。そして、この糸を引くような美しい弾道のミドルシュートは瀬戸口選手の得意とするプレーです。
「あそこにボールがこぼれてくることを予想して、上手く合わせられました。前の選手たちに感謝したいです。あそこまで、チーム全体として押し込めたのが、すごく良いことだと思います。」
ちふれASエルフェン埼玉を讃え雪辱を誓う楠瀬直木監督(浦和)
「非常に見応えのあるゲームをしてくれた。諦めないでやってくれた。最後に本当にちょっとこぼれてしまったのは、もう、ちふれさんを褒めるしかないです。」
三菱重工浦和レッズレディースの楠瀬直木監督は、瀬戸口選手とちふれASエルフェン埼玉の気迫あふれるプレーに脱帽しました。高橋はな選手の美しいボレーシュートで先制。80分に石川選手を投入し3バックで逃げ切りを図った三菱重工浦和レッズレディースですが、ちふれASエルフェン埼玉が力ずくで勝ち点1をもぎ取りました。
WEリーグ最高級の迫力バトルを披露した高橋はな選手(浦和)と大沼歩加選手(EL埼玉)
この試合では、白熱する一対一の戦いが繰り広げられました。フォワードで起用された高橋はな選手(三菱重工浦和レッズレディース)と大沼歩加選手(ちふれASエルフェン埼玉)のバトルです。
「高橋はなさんが(フォワード起用で)来るのはわかっていました。そこに当ててくる長いボールにいかに勝てるかが重要でした。自分では、もっと勝てたはずですが、そこまで自由にやらせなかったから(狙い通りに)試合を進められた部分もあったと思います。でも、何度か大きなピンチもあったので、押し込まれないくらいの形で自分が持っていけたら、もっと得点につながるチャンスもあったかな。」
当事者が「楽しかった」と語るくらいハイレベルの駆け引き
高橋選手は引き分けの悔しさを語りましたが、こうも話しました。
「すごく楽しかったです……でも、自分自身の能力をもっと上げなければいけないと感じたので、良い学びだったと思います」
そのことを大沼選手に伝えると、大沼選手の表情が明るくなりました。
「自分も楽しかったです。本当に上手でした。全てのプレーで、ずっとメラメラしているんですよ。裏への飛び出しをずっとしていて、オフサイドにかけたいけれどかけられないギリギリのタイミングでパスが出てくる。駆け引きも楽しかったです。」
大沼選手は、ここまで全試合にフル出場。インターセプト数はリーグ3位。大沼選手の成長は、ちふれASエルフェン埼玉がしぶといサッカーをできる理由の一つです。ちふれASエルフェン埼玉を代表する顔となってきました。
順位浮上のために次節が大切
三菱重工浦和レッズレディースは、首位・INAC神戸レオネッサとの勝ち点差が3となりました。次節で難敵・アルビレックス新潟レディースとのアウェイゲームに挑みます。
WEリーグの「真っ赤な太陽」 高橋はな選手から広がる光と情熱 ノジマステラ神奈川相模原戦が転機となった三菱重工浦和レッズレディース
ちふれASエルフェン埼玉はリーグ戦とカップ戦を合わせて4試合連続引き分けです。次節は、順位が2つ上のセレッソ大阪ヤンマーレディース戦、その次は、順位が一つ上のAC長野パルセイロ・レディース戦です。いずれも熊谷スポーツ文化公園陸上競技場に迎えます。
「私たちのスタイルは、順位が上の相手には構えて戦えるけれど、同じぐらいの順位の相手と戦うときにすごく難しさがある。」
山本絵美コーチ(池谷孝監督は体調がすぐれず不在)は、難しい相手を攻略する策を練り順位浮上を狙います。ちふれASエルフェン埼玉の目標順位は5位以上です。
(2024年11月20日 石井和裕)